羽田新ルートの取り消しを 東京地裁で口頭弁論 9月20日に中間判決〈2024年6月2日号〉
- 2024/6/2
- 羽田新ルート
羽田新ルートの運用による都心を縦断するルートや川崎臨海コンビナート上空への離陸ルートは危険で騒音も大きいとして、住民が国に新ルートの取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が5月21日、東京地裁でありました。(松橋隆司)
口頭弁論では、弁護団のほか、原告住民が意見陳述を行いました。岡田幸人裁判長は、中間判決を9月20日に行うと、表明しました。
中間判決は、最終判断の前に、新ルートの運用が、国民の権利義務を制限する行政処分に当たるかどうか(処分性)や、訴訟を起こす資格(原告適格)があるかどうかなど、実質審理に入る前に判断を示します。
川崎コンビナート上空の飛行についてみると、国は新ルートの運用に伴い、1970年以来、半世紀にわたって続けてきた飛行制限の通知を廃止、コンビナート上空の飛行を解禁にしました。
飛行制限通知が出されたのは、70年当時、日航機の羽田沖墜落事故など重大事故が相次いで発生したため、飛行禁止を求める川崎市民の運動の反映でした。
弁護団は、川崎市民が1970年以来「『コンビナート上空を飛行する航空機の墜落等の事故により自己の生命・身体・財産を侵害されないことを期待する法的地位(権利)』が確立した」と指摘。その市民の権利(法的地位)が侵害されたとして解禁通知の取り消しを求めた行政処分の正当性を強調しました。
また、新ルートの航路下で居住している原告の適格性については、KLMオランダ航空機のパネル落下事故が航路直下から3.7キロメートル離れた自動車を直撃した例などをあげ、航空機からの落下物が広範囲に及ぶことを指摘し、原告の適格性を強調しました。
原告の弁論で、川崎市川崎区在住の橋本勝雄さん(76)は、航空機事故の心配や騒音被害の深刻な実態を紹介。町会からの要望も行政は、「国が決めたことだからの一点張りだ」とのべ、「国策飛行ルートから住民を守ってください」と訴えました。
渋谷区の須永知男さん(76)は、議会や町会への働きかけ、街頭活動で、多くの人から受けた激励や共感の声を紹介。「私たちは世論を背景に主張しています。決して門前払いしないように」と陳述しました。
東京民報2024年6月2日号より