パレスチナ支援を日常で 旗を背に行動 木村隆文さん〈2024年6月2日号〉
- 2024/6/4
- 平和
ハマス(イスラム抵抗運動)が昨年10月7日にイスラエルを襲撃して以降、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエル軍の無差別爆撃で殺されたパレスチナ人は3万5000人を超えます。世界中の人々が心を痛め一日も早い停戦を願いますが、その願いとは逆に犠牲者は増え続けています。そんな中、清瀬市に住む木村隆文さん(61)は、「ガザで起きているのは、国際法違反の占領を続けるイスラエルによるジェノサイド(計画的な集団殺戮)。一人でも多くの人に正しい情報を伝えたい」と、ひとり行動を起こしました。
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黒、白、緑の三色ストライプに赤い三角形が映えるパレスチナ旗をマントのようにまとい、高く掲げた両手には「パレスチナに目を向けて!」「STOP GENOCIDE(ジェノサイドやめろ) FREE PALESTINE(パレスチナに自由を)」などと書かれたプラカード。道行く人がチラリチラリと視線を投げて通り過ぎて行きます。
友人と会う時や買い物、電車やバスに乗る時も、自宅を出れば常にこのスタイルです。「デモとは違って、日常生活の中で当たり前のようにできます。『それは何ですか』と聞かれたらチャンス。パレスチナ問題の歴史から丁寧に説明します。正しい情報を伝えるために、たくさん勉強もしています」
行動を始めたのは、イスラエルの攻撃が始まってすぐのこと。「大学の国際政治学の授業でパレスチナのことを学びました。1948年のイスラエル建国で70万人が難民化し、以後76年間にわたり国際法違反の占領、土地や家屋の強奪などが続いています。この瞬間にも殺されたり、手や脚を失ったりしている人たちがいる。その人たちの視点に立った時、猶予はない。自分ひとりでもできることをやろう」
木村さんは、自らの活動をX(旧ツイッター)などで日本語と英語で発信。世界中の人たちから「あなたの勇気をたたえます」「パレスチナに寄り添ってくれて、ありがとう!」といった返信が届くようになりました。
心寄せる一助に シンボルのネックレス「パレスチナの鍵」を制作
「世論を動かす一助になりたい。自分にもっとできることはないか」。思い及んだのが「パレスチナの鍵」でした。イスラエル建国で故郷を追われたパレスチナの人々にとって、帰還への希望を示すシンボルです。
「停戦には世論の広がりが必要です。しかし停戦したとしてもイスラエルによる違法な占領が続く限り本質的な解決にはなりませんし、パレスチナの人々の苦しみは終わりません。パレスチナの鍵を手元に置くことで、パレスチナについて話をするきっかけになるかもしれないし、ずっと寄り添い続けていくことができるのではないか」
この鍵をモチーフにペンダントを作り販売することにしました。Xで知り合ったパレスチナの女性から送ってもらった鍵を元にデザイン。長く愛用してもらえるよう素材は高級感のある銀を用いることにしました。ペンダントには、その女性に書いてもらったアラビア語の文字を印字。読み方は「Aidoun(アイドゥーン)」で「いつかパレスチナの故郷に帰ろう」という意味です。
「パレスチナの人々の希望と勇気と正義の実現の象徴である鍵のペンダントです。一人でも多くの人の手もとに置いてほしい。パレスチナの自由の実現は、世界中の全ての人々の自由につながっているのです」。経費を除いた売り上げは、国際パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)などに寄付します。
▼「パレスチナの鍵」ペンダント スターリングシルバー925の銀製品。縦約32ミリ、横上部約12.8ミリ、1個7800円~(送料込み)。チェーン別売1000円。フリーマーケットアプリ・メルカリで購入できます(パレスチナマン)。
東京民報2024年6月2日号より