「やったー、勝訴だ」―東京地裁前で傍聴席からあふれた支援者らが、勝訴の旗を見て肩をたたき合い歓喜に震えました。東京都内で生活保護を利用する48人の原告が国や都などを相手取り保護費の削減の無効を争ってきた“新生存権裁判〟の判決(篠田賢治裁判長)で13日、原告の勝訴が示されました。

同裁判は2013年度から2015年4月まで3回にわたり行われた“生活保護基準の引き下げ〟は、「憲法25条の定める生存権保障に反する」として無効を争ってきたもの。訴えのうち、生活保護費引き下げの取り消しが示されましたが、損害賠償については認められませんでした。
この判決で東京高裁管轄の地裁では、原告の全勝となりました。全国27の地裁判決は17地裁で原告勝訴となり、今後の群馬、岡山、愛媛の3地裁判決にも大きな影響を与えるとみられています。
判決を受けて報告集会が衆議院第二議員会館で行われました。同裁判弁護団長の宇都宮健児弁護士は「この勝利は地方での裁判にも大きな影響を与える。大阪裁判の最高裁判決においても同様だ。2012年の安倍晋三氏の生活保護費を削減するとした選挙公約にならった政治的な問題。生存権切り捨ては許されない。国会や政府でのたたかいも大切。相互支援しつつ継続して生存権を守るたたかいだ」と今後の展望を語りました。
弁護団事務局長の田所良平弁護士は「訴訟準備に2年かかり、今日の判決が出るまで実質9年のたたかいだった。57人の原告で始まったが、亡くなった方などもいたので原告48人が勝利判決を勝ち取った」と切り出しました。判決について「生活保護費の引き下げ処分は違法と認められました。最低生活費を侵害されたとした精神的損害賠償は、引き下げ取り消し判決をもって引き下げ分が回復されるので、精神的損害はないとみなされた」と解説。