羽田事故 予算つけ人員の拡充を 対策委 中間まとめ受け労組が会見〈2024年7月7日号〉

 羽田空港で1月2日におきたJAL機と海上保安機の衝突炎上事故の対策検討委員会が、中間とりまとめを発表したことを受けて6月25日、航空管制官らが加盟する国土交通労働組合が会見を開きました。同労組は事故の原因について運輸安全委員会の調査結果が待たれる中、今後の取り組みを含めて見解を公表。航空の安全に向けた施策の充実を訴えました。

羽田空港での事故機と同型の機、エアバス社A350=6月25日

 佐藤比呂喜・副委員長は、「決して同様の事故を起こさせないという再発防止の観点から①緊急対策の滑走路誤侵入防止のレーダー監視の人員を、既存の役割変更ではなく必要な新規要員の増員②疲労管理システムの実効性を担保する要員配置―が必要だと訴えてきた」として、「組合では航空管制官のメンタルケアの重要性と全部署への導入を求めてきた」と強調しました。

 今回の中間とりまとめに、航空管制官の人的体制の拡充が盛り込まれたことについて、組合声明の発表、国交省航空局への申し入れなど、「事故対策検討委員会に労働組合や現場の意見をしっかりと聴取するようにと求めてきたものが反映された形」だと評価。その上で、「予算措置等が必要。国交省のみならず、内閣府、財務省、人事院など、関係府省でも、対策案が実現されるまでの複数年にわたり協力をお願いする」と述べました。

 石井直人・書記次長は「組合は、複数の滑走路を持つ空港では、運用形態に合わせて副補佐管制官が複数人必要であると考える」として、「例えば羽田空港であれば、運用形態によっては滑走路を3本運用する時もあれば4本の時もあり、一概に1人の補佐管制官が全部を見られない」と指摘。「新千歳、成田、羽田、中部、関空、伊丹、福岡、那覇の主要空港のみの配置となっている。その空港以外においても、安心安全のためにはとても重要」だとして、「組合としてタイミングを見計らいながら対象空港の拡大を求めていきたい」と訴えました。

 斉藤鉄夫国交相は、「今年夏、繁忙期で航空機の離着陸数が増加する頃に合わせて航空管制官を増員する」旨を公言しています。しかし航空管制官は養成まで2年を要するために、現場では「間に合わせで、管制官資格を持つ国交省職員の個人の事情を無視した強制配置転換が起きるのではないか」や、「現場復帰へ向けた支援策が不透明で不安」など危惧する声があるといいます。

会見に臨む国交労組航空部門の役員=6月25日、千代田区

東京民報2024年7月7日号より

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