裁判「決して無駄でない」 特定整備路線 29号線めぐり報告集会〈2024年7月28日号〉
- 2024/7/26
- 都道・道路問題
東京都が防災性の向上を名目に進める特定整備路線・都道補助29号線(品川~大田区に及ぶ約3.5キロ)の事業認可取り消しを国と都に求める行政訴訟で、今年5月に最高裁が上告を棄却したことなどを受け、原告らは20日、品川区内で報告集会を開きました。
同裁判は2017年6月、原告62人で提訴。原告による本人尋問のほか、元建設局木密路線整備推進課長や、都市防災・都市計画専門家である中村八郎氏の証人尋問、都市計画・都市防災を専門とする岩見良太郎氏の意見書から、補助29号線の不合理性や、都の未熟なシミュレーションなどが明らかとなりました。
日本共産党の白石たみお都議、同党の品川区議も参加。白石都議は、都が今年度、建設局用地部に地上げ部隊「機動取得推進課」の設置、「建設局土地収用制度適用基準」の運用方針を強権的に発動できる内容に水面下で変更したことを説明。「都議会で都道府県別での運用方針を調査し、都のルール変更のひどさを告発、発動させない運動と闘いをやっていきたい」と述べました。
原告弁護団の串山泰生弁護士は、「行政寄りの判断をされた」ものの、裁判を通じて道路建設の矛盾が浮き彫りになり、「決して無駄ではなかった」と主張。変更された土地収用制度適用基準を法的に説明し、「ポイントは土地の測量などをさせず、調書を作成させないこと」と強調。「都の職員が基準から逸脱した交渉をしていないか、注視していく必要がある」と語りました。
道路建設予定地に建物を支える重要な柱がかかるため、改築を余儀なくされる住民からの質問に対し、串山弁護士は「国の土地収用法は、(改築に)要する部分も補償する必要があるという規定になっている」と指摘しました。
原告団長を務めた池戸アキコ氏は、「これからも運動を続けていく」と決意を述べました。
東京民報2024年7月28日号より