樹冠被覆率の増大目標を 温暖化と街路樹 藤井英二郎 千葉大名誉教授〈2024年8月4日号〉

 気候危機が問題となる中、全国各地で樹木の大量伐採計画が住民への十分な説明もないまま進められています。都内では3000本もの樹木伐採計画のある明治神宮外苑や日比谷公園などをはじめ都心部での超高層ビルの建設ラッシュ、樹木伐採を伴う再整備計画が目白押しです。これに対し、「樹木を守って」との市民運動が広がっています。渋谷区では地下水路となった玉川上水の上の緑道(笹塚~代々木、2.6㌔)の再整備で、当初伐採予定の樹木158本を市民運動によって8割以上の134本を残すことになりました。市民運動の中心となった「渋谷区玉川上水緑道利用者の会」が7月20日に開催したセミナー「温暖化と街路樹・緑道・公園」で樹木研究の第一人者、藤井英二郎・千葉大名誉教授が講演しました。地球温暖化やヒートアイランドへの緑の効果を説き、一定面積に占める高木の枝葉が覆う面積割合である樹冠被覆率を明確な目標として増大すべきだと強調しました。講演から“地球沸騰化”時代における緑の大切さを考えます。

スライドを使って講演する藤井氏=7月20日、渋谷区

 「東京都は五輪に向けて熱中症対策で遮熱性舗装を進めたが、路面温度は最大で10℃しか下がらない。ところが樹冠(枝や葉の茂っている部分)で覆うだけで20℃も下がる。とても経済的なのに、なぜ東京はやらないのか」。

 藤井氏がこう憤るには理由があります。地球温暖化と大都市が高温化する「ヒートアイランド現象」が急激に進んでいるのに、東京では公共の財産である公園が大企業の儲けの対象とされ、緑を減らし超高層ビルを急増させる大型開発を続けているからです。樹木には温暖化を招く二酸化炭素(CO2)を減らす効果やストレス緩和、景観改善、生物多様性の保全なども期待されます。

関連記事

最近の記事

  1.  革新都政をつくる会は8月29日、団体・地域代表者会議を開き、都知事選を総括するとともに、総選挙や…
  2. トーク宣伝で質問に答える田村氏(中央)と米倉都議=2024年9月2日、豊島区  「学費が高い…
  3. 国交省の担当者に説明を求める山添氏=8月30日、千代田区  JR東海のリニア中央新幹線(品川…
  4. 埼京線へのホームドア設置を求める参加者=8月30日、千代田区  日本共産党の小池晃、吉良よし…
  5.  1968年に西日本でダイオキシン類が混入したカネミライスオイル(米ぬか油)を食した数万人が被害を…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る