PFAS汚染 全国に先駆け血液検査を 東京民医連が都に要請〈2024年8月11・18日合併号〉
- 2024/8/18
- 気候危機・環境
多摩地域の水道水源の井戸が発がん性の疑いのある有毒物PFAS(有機フッ素化合物)で汚染されている問題で、東京民主医療機関連合会(東京民医連、根岸京田会長)などが7月31日、都民の血液検査や除染を積極的に進めることなどを東京都に要請しました。

要請書ではPFASの血中濃度が高いのは一時的か、恒常的かを判断するには血液検査しかないと指摘。「都としてPAFS蓄積と疾患リスクの関連調査、健康リスクの防止に向けた取り組みとして血液検査を積極的に進めてほしい」と求めました。
また、すでに土壌に流出したPFASは数百年にわたり地下水脈を汚染するとし、「発生源での土壌除染は必須」だと強調。そのためには「都の科学研究所の能力を引き出す環境科学の振興が必要」だとし、土壌除染策の研究を進める必要性も強調しています。
これに対し都は国によるPFASのリスク評価が定まっていないことを理由に、具体的な回答は示しませんでした。
血液検査を巡っては浄水場の水から高濃度のPFASが検出された岡山県吉備中央町が、全国で初めて住民らを対象に公費で実施する方針です。
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要請後、東京民医連などが記者会見を都庁で開きました。京都大学名誉教授で東京保健会病体生理研究所の小泉昭夫環境発がん研究センター長が国内外のPAFS汚染の状況と健康リスク、対策などについて解説。疫学データや毒性を無視する日本政府の非科学的対応を批判し、PFAS汚染に立ち向かう方策について「予防的働きかけ」など7項目にわたり提起。血液検査と除染の重要性を強調しました。
民医連に所属する社会医療法人社団「健生会」(立川市)のPFAS専門委員会事務局の蓮池安彦組織部長は、今年5月から有料で始めたPFAS血中濃度を調べる血液検査について報告。検査は全国から受け付け7月27日までに都内外の95人が検査を受けていると紹介。
同じく専門委員の青木克明・立川相互ふれあいクリニック医師は7カ所の診療所で開設しているPFAS相談外来で、血液検査で高い値が出た人を中心に64人が来所し、がんのスクリーニング検査や診断に基づく指導を行っていると紹介。「都は都民の命と健康を守る姿勢に立って都独自に血液検査をやってほしい。民間の事業に対しては補助を求めていきたい」と話しました。
大山美宏・昭島相互病院副委員長は、昭島市民の32人の血液検査で高い数値が出たことなどを示し、「横田基地から漏出した泡消火剤によるPFAS汚染が昭島市にも及んでいるのではないか。汚染プールを除染しない限り、汚染地域は広がり続ける」と指摘しました。
同会の松崎正人専務理事は「住民の不安を払拭し、健康を守っていくためにも全国に先駆けた血液検査や、予防原則に基づいた対策を実施すべきだ」と訴えました。
東京民報2024年8月11・18日合併号より