樹冠被覆率 23区は9年間で2割減 学術論文で明らかに〈2024年8月25日号〉

 東京23区で、土地の一定面積のうち高木の枝葉が覆う面積の割合を示す樹冠被覆率が、2013年と2022年を比較して、9.2%から7.3%へと、1.9ポイント(変動率20.6%)、下落したことが明らかになりました。東京大学の「都市・ランドスケープ計画(寺田徹)研究室」の白石欣也氏(博士課程2年)が科学誌「Urban Forestry and Urban Greening」に発表した論文によるものです。

 樹冠被覆率が高まると、都市のヒートアイランド現象緩和や、雨水の吸収、大気汚染対策、熱中症予防など、様々な効果を持つとして、世界各都市が目標を持って向上に取り組んでいます。他方、東京都は、樹冠被覆率の目標を持っていません。今回の論文で、実態としても被覆率が約2割も減少したことが分かりました。

 論文では、樹冠被覆率を、衛星画像のデータから地表の状況を調査する「リモートセンシング」と呼ばれる方法で算出しています。

 地表に植物があれば、植物は太陽光から赤色を吸収し、赤外線を反射する特性を持つため、人工衛星から観測すると、赤外線の値から赤色の値を引いた数値の割合を示す正規化植生指標(NDVI)が高い数値を示します。NDVIは、農作物の生育状況を衛星から観測するなど、農林業にも広く利用されています。

 白石氏の論文によると、樹冠被覆率を算出した手法は、▽23区を撮影した2013年の衛星データと、2022年の衛星データで、それぞれから、樹冠がある場合の、NDVIの値を抽出する▽そのデータをもとに、衛星画像から樹冠がある部分と、その他の部分を分類する▽画像が雲で覆われている部分などは、他の衛星画像データで補足する―というもの。分類が正しくできているか、1万カ所のサンプル抽出で検証しています。

緑化計画が必要

 論文では、23区各区の樹冠被覆率の変化も調査しています(表)。

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