都内各地で大規模な再開発が強引に進められ、東京の街並みは大きく変貌しようとしています。日本共産党の山添拓参院議員、坂井和歌子衆院東京比例予定候補らは8月22日、住民参加の街づくりで生まれ変わった小田急線下北沢駅(世田谷区)周辺を視察。同党都委員会インターンシップの若者も参加し、住民運動の先陣を切った、日本矯正学会認定医で老舗ロックバー「Never Never Land」のオーナーでもある住民の下平憲治氏、同党の中里光夫、川上耕一の両世田谷区議が案内しました。
下北沢駅周辺の開発は2003年、地上を走っていた小田急線を地下化する「連続立体交差事業」および「複々線化事業」と共に、同駅北側の商店街を東西に貫く都市計画道路補助第54号線(延長265メートル、最大幅26メートル)の整備、下北沢駅前の交通広場(約5400㎡)と、その広場から補助第54号線に接続する街路(延長64メートル)から成る道路「世田谷区画街路第10号線」を建設する大規模な計画が持ち上がりました。
小田急線の地下化は、「開かずの踏切」の解消が目的。朝のラッシュ時に、1時間のうち50分以上も遮断機が下りていた踏切もあり、住民は対策を求めていました。
巨大な道路が整備されると、多くの店舗が立ち退きを迫られるものの、周辺住民に対して十分な説明がされないまま計画が進行。疑問を持った住民が声を上げ、反対運動のうねりが起こりました。
住民参加で重ねた議論
下平氏は、下北沢(面積0・979平方キロメートル)は高円寺(杉並区)の4分の1、三軒茶屋(世田谷区)の半分の広さに、「劇場10軒、ライブハウス30軒、古着屋さんは200軒を超えた」と、文化と芸術が集まる街の特色を説明。
山添氏らは、2028年度中の完成を目指している世田谷区画街路第10号線と補助第54号線の予定地を見学。2013年の小田急線地下化の完成をもって2022年5月に誕生した、東北沢駅-下北沢駅-世田谷代田駅をつなぐ1.7キロの路線跡地「下北線路街」を歩きました。
下北線路街の開発コンセプトは、「BE YOU.シモキタらしく。ジブンらしく。」。住民、事業者の小田急電鉄、区が何度も街づくりについて話し合い、小田急は下北沢の魅力を引き出す「支援型開発」を目指しました。
住民参加によってデザインされた街は、飲食店や物販店など個人の商いを応援する住居併設の長屋、イベントが開催できる空き地、ライブや演劇ができるエンタメカフェ、温泉旅館、認可保育園、緑豊かな広場など多様な施設が並び、緑やベンチが整備された歩道、駅のそばには駐輪場も設置。容積率を引き上げる再開発とは異なり、2階建ての建物が多いのも特徴です。
街の魅力を掘り下げる
下平氏は、「決まったからと言って変えられないことはない。本質を変えてしまう方法論がある。これは、ほかの街でも役立つはず」と語り、中里区議は「歩いて楽しむ街が下北沢なのだと示していったのは大きい」と述べました。
山添氏は「単に再開発に反対だということではなく、理想の街づくりを提案して、議論の場を作りながらやってきた痕跡があちこちに見られる。自分たちが住む街の魅力を、掘り下げる時間が大事」だと話しました。
東京民報2024年9月1日号より