日本共産党都議団の調査や情報開示請求で入手した開示文書により明らかになった、東京都建設局が道路建設などで強権的に土地買収が行えるよう運用方針が改悪された問題をめぐり、同都議団は8月26日、道路建設の見直しを求める住民や関連する市区議会議員らと、同党本部(渋谷区)で学習・交流会を開きました。
都は、国が定める土地収用法に基づく「建設局土地収用制度適用基準」の運用を、3月29日付で変更。これにより、「事業用地の取得は、任意折衝による円満解決を原則とする」という方針が削除され、「事業の早期完成のため緊急を要する場合や事業効果の早期発現に支障がある場合」には、「土地収用法に定める手続きを進める」と記しています。
白石たみお都議は、「土地所有者の意思に関わりなく、都の勝手な判断で強制的に土地収用手続が進められる」と説明。「小池都政の強権的体質が、改めて浮き彫りになった」と強調しました。
これほど重大な変更でありながら、都は都議会や都議、都民、地元自治体に報告することなく、秘密裏に決定。同都議団が建設局の動きに疑問を持ち、繰り返し問い合わせをしましたが、建設局は「方針変更はない」と、事実を隠し続けていました。
狙いは道路建設
2003年から一度も変更されなかった運用方針が今回改定された理由について、白石都議は、昨年12月に小池知事がアップグレードした『TOKYO強靱化プロジェクト』に、「特定整備路線の整備推進」がリーディング事業(新たに取り組むものを中心に、先導的かつ特徴的な事業)として位置づけられたことにあると指摘。「土地収用の発動を脅しに使い、大型道路建設などを進めることが狙い」だと語りました。
事実、小池知事は今年度予算の知事査定で特定整備路線の予算を増額し、都の建設局用地部に同路線を強力に進める63人体制の地上げ部隊「機動取得推進課」を、4月1日付で設置。開示された機動取得課の「事務分担表」によると、今年度は8路線101区間に人員が集中投入される予定で、その約45%は、豊島区内の路線(補助82号線、補助81号線、補助26号線)です。
買収全体が対象
用地取得の方針は特定整備路線に限らず、大型道路の新設や拡幅など、建設局が行うすべての用地買収が対象。杉並区の「善福寺川上流調整池(仮称)」、西東京市から武蔵野市に及ぶ「石神井川上流地下調節池」、江戸川区の「篠崎公園」の整備なども主要事業とされ、開示資料には「着実に用地取得を進めること」と明記されています。
白石都議は、「この方針を撤回させるため、都議会で論戦を行っていく」と決意を述べました。
参加者の報告や発言で、550棟が立ち退きになる特定整備路線補助29号線(品川区)の整備反対運動に取り組む池戸アキコ氏は、「再開発と関連し、商店街の店が次々に閉じている。本当に寂しい」と発言。「都市整備局が管轄の特定整備路線も、建設局と同じ運用方針なのか」「自治体にどのような影響があるのか」「議会ではどのような調査をして構えるべきか」など、質問が飛び交いました。
東京民報2024年9月8日号より