杉並区の岸本聡子区長は3日、記者会見を開き、任期4年の折り返しとなる第3回定例会(9月10日開会)に提出する、一般会計補正予算案(総額95億864万円)について説明しました。

補正予算案には、ジェンダー平等を進める条例制定などを視野に、区民や有識者で構成する審議会を設置する費用を盛り込みました。「性の多様性尊重条例」制定やパートナーシップ制度の取り組み範囲の拡大などを踏まえ、男女共同参画の取り組みやジェンダー平等のいっそうの推進を図りたい考えです。
審議会は区長の付属機関とし、公募区民、団体関係者、学識関係者など12人以内で構成し、来年秋頃までの答申を予定します。岸本区長は「現在の取り組みをどうアップデートし、ジェンダー平等の理念を区としてどう発信していくか、今後の取り組むべき課題や目指すべき未来像など、様々な課題を審議してほしい」と語りました。
また、不燃ゴミの積み替え施設として2009年まで使われてきた旧杉並中継所について、防災拠点としての活用が決まったことを受け、平時は地下部分をアーバンスポーツ施設として活用する方向で検討を始めます。補正予算に約384万円を計上しました。
スケートボードやBMX(自転車競技)、スポーツクライミングなどを想定。五輪競技となったことで最近、若者を中心に人気が高まっています。もともと広い場所を必要としないことで、個人が気軽に始められるなどの理由で都市住民が参加しやすいスポーツです。
一方、先行して同種の施設を整備した自治体では、騒音や利用者マナーなどの課題も上がっていることから、岸本区長は「課題整理や解決策の検討を行い、施設整備に向けた住民との合意形成を進めていきたい」との考えを示しました。
補正予算には他に、大地震に備え、最新版の「防災マップ」の全戸配布費用など約1263万円を計上しました。
住民参加で成果
岸本区長は「公約を着実に前に進めるべく庁内で議論を重ね、総合計画・実行計画に反映させて、行政の継続性や財政の健全性を保ちつつ、57万人の命と暮らしを守る自治体の使命のために一日、一日を重ねてきた」と語り、選挙公約「さとこビジョン」の進捗について紹介。
「対話から始まる、みんなの区政」の実践として、区政を話し合う「聴っくオフ・ミーティング」、子ども施策に子ども自身が意見を表明できる場「子どもワークショップ」、まちづくりの中で道路を考える対話集会「さとことブレスト」(現在は「(仮称)デザイン会議」に発展)」などを挙げました。
また、今年度から予算を組んだ雨水流出抑制のための「グリーンインフラ」は、「水害対策について、地域内で協力して力を出し合う場づくり」と説明。今年2年目となる区民参加型予算で提案募集した「防災×○○」には83件の応募があり、9月中に予算をつける事業を決める区民投票が始まると語りました。
岸本区長が重視してきた行政計画や事業を作っていくプロセスへの区民の直接参加について、「具体的な成果が出てきている」と強調。例として区民から33件の意見提案があった「杉並区気候区民会議」と「子どもワークショップ」の開催を挙げました。子どもをめぐる施策で、ワークショップの取り組みなどを「子どもの権利条例」や「居場所づくり基本方針」の策定につなげていきたい考えです。
東京民報2024年9月15日号より