読書 今月の本棚と話題*『被爆者から「明日の語り手」へ核兵器禁止条約から廃絶に』赤旗編集局 編〈2024年9月15日号〉
- 2024/9/16
- 書評
思いをつなぎ、核兵器廃絶へ

2017年7月7日、人類史上初めて核兵器を違法化する画期的な核兵器禁止条約が採択されました。それは条約を力に、核兵器の完全廃絶をめざす新たなたたかいの出発点でもありました。
本書は、廃絶めざす「明日の語り手」が世界に広がるように、未来につながることを願って編集されたものです。
第一章は、「ヒバクシャのこころ」です。広島、長崎で被爆した方々の生々しい体験が語られているだけでなく、被爆者自身が核兵器廃絶のたたかいの担い手として先頭に立っている姿が描かれています。
カナダを拠点に発信し続けるサーロー・節子さんの「核の完全廃絶を訴えるのが広島であの日を体験し奇跡的に生き残った被爆者の使命です」との言葉には、深いものがあります。
被爆者たちは生き地獄を体験したからこそ、「同じ地獄をどの国のだれにも絶対に再現してはならない」「ふたたび被爆者をつくるな」と先頭に立っているのです。