高すぎる大学の学費や、卒業後も重くのしかかる奨学金の返済をめぐり、日本共産党の吉良よし子、山添拓の両参院議員、宮本徹衆院議員、坂井和歌子衆院東京比例予定候補、曽根はじめ、里吉ゆみ、米倉春奈、池川友一の各都議は12日、新宿駅東南口(新宿区)で「学費無償化アクション」を行いました。
議員らは演説の合間、街頭に立ち、学生や奨学金を返済中の人、学費を負担している保護者などを対象に、「実態調査アンケート」を実施。学費に悩む人々から、生の声を聞き取りました。

司会を務めた坂井氏は、「10日に国立の東京大学が、約10万円の学費引き上げを公表した。もはや学生だけでなく、全世代の課題になっている」と主張。学費を支払うためアルバイトに励む学生や、孫の奨学金を負担している女性の嘆きを紹介しました。
2016年から参院文教科学委員会で学費問題に取り組んできた吉良氏は、「日本の奨学金返済総額は約10兆円。政府は若者に10兆円も借金を背負わせている」と批判。「国のあり方を根本から変えよう」と訴えました。
中央に据えたモニターに「私立大と国立大の授業料の推移」のグラフを表示し、吉良氏は「国が大学の予算を出し渋ってきた」と強調。日本の教育に対する私費負担は、OECD(経済協力開発機構)平均を超過していることなどを説明しました。
国の教育予算と防衛予算を比較したグラフを基に、吉良氏は「2012年の時点では、文教予算が防衛予算を上回っていた」と指摘。安倍政権以降、教育と防衛予算が逆転しており、「文部科学大臣は財政的制約があると言うが、出せるところには出している」と声を強めました。
山添氏は、「教育予算の優先順位が低いことに怒りを感じる」と発言。「裏金作りはできるのに、教育費の確保ができないとはどういうことか」と、自民党の姿勢に憤りました。
根底にある政治の貧困
吉良氏が高等教育の無償化に向けた日本共産党が掲げる3つの緊急提案を紹介し、米倉、池川の両都議が登壇。本年度から都立大学の授業料が実質無償化(保護者が都内在住であることが条件)されたことに言及しました。これは同都議団が学費の負担軽減について研究し、都議会で繰り返し提案してきたもの。米倉氏は「毎回、学生の話しを聞き、その声を都議会に届けてきた。無償化の実現は、都議選で皆さんが共産党を3回連続で躍進させてくれたから」と述べました。
池川氏は、都外出身のため無償化の対象にならなかった学生からの手紙を紹介。仕送りがなく、日勤と夜勤のバイトを掛け持ちしながら学んでいる実態を話し、「65%の学生が、(無償化の)対象外。小池都政に学ぶ権利が据わっていないからだ」と主張。「皆さんの声と共産党の議席を掛け合わせれば、社会は変えられる」と締めくくりました。
里吉都議は、「希望を持って学べるはずの若者が、(高額な学費により)希望をへし折られている」と指摘。曽根都議は、授業料が値下げされたソウル大学を2016年に米倉都議と視察し、責任感を持って学業に取り組む学生の声を聞き、「公が教育を支援する意味を実感した」と語りました。
大学の卒業論文で教育の無償化について書いた宮本氏は、「物価が上がり、賃金が追い付かず、暮らしが大変な中、なぜ大学の授業料が上がるのか。そこには政治の貧困がある」と強調。「税金の使い方の優先順位が間違えている」と力を込めました。
通りがかりに街頭宣伝を聞いていた39歳の会社員は、「学費の関係で受験できる学校が絞られた。無償化になれば多様性が担保され、社会の発展にもつながる」と話しました。
東京民報2024年9月22日号より