全国の介護事業者で、今年1月から6月までに倒産した件数が81件に及ぶことが東京商工リサーチの調査で分かりました。一千万円以上の負債を抱えた倒産を集計したもので、上半期の倒産件数としては2020年の58件を大きく上回り過去最多だといいます▼倒産した業種のトップは訪問介護で40件でした。続いてデイサービスなどの通所・短期入所が25件。いずれも、地域の在宅介護を基盤として支えるサービスです▼人件費と水光熱費の高騰によるコスト増の一方で、4月には訪問介護の基本報酬が引き下げられています。もともと、赤字やギリギリの黒字という事業者が多い中で、コスト増が追い打ちをかけたと見られています▼人手不足も深刻です。多くの訪問介護事業者で、ホームヘルパーの主力は70歳代以上というのが実態で、長年、介護の現場を担ってきたホームヘルパーが高齢で引退を迎えても、後に続く人が大幅に不足する状況です▼中小の介護事業者は、困難が多い家庭や介護報酬が低い分野など、大手で受け入れてもらえない利用者を、きめ細かく支える役割も担ってきました。介護保険制度が始まって24年、利用者の給付は減らし負担は増やす流れを切り替えなくては、事業所も経営が成り立たなくなっています。
東京民報2024年9月22日号より