1頭でも多く、いのち救う 豊島区 東京キャットガーディアン〈2024年9月22日号〉

 豊島区南大塚を中心に、都内4カ所に猫を保護するNPO法人東京キャットガーディアンの施設があり、日々活動を続けています。東京都内で2023年に保健所・動物愛護センターに収容された442頭の猫の内、飼い主への返還や新しい飼い主に譲渡されたのは258頭。小池百合子都知事は「殺処分ゼロ」と胸を張りますが、病気やけが、攻撃性があるなどで譲渡に適さない個体173匹が福祉の観点の名のもとで致死処分されています。東京キャットガーディアンでは、保護された猫を引き受けて譲渡するだけでなく「いのちを救う」という一点から、重い病気を抱えていたり、介護を必要とする猫も含めて対応しています。同施設を訪ねました。

下半身付随のあいちゃんも手厚いケアのもと暮らしています(写真:東京キャットガーディアン提供)

国内初の保護猫カフェも

 子どもの頃から動物が大好きな代表の山本葉子さんは、近所の飲食店主から行き場のない目の見えない猫の相談を受けたことが縁で保護猫活動に踏み出しました。現在、東京キャットガーディアンでは都内4カ所の拠点で常時300頭程度の猫のケアを行い、適切な飼育環境を提供できる飼い主に送り出す準備をしています。乳飲み子から老齢や病気で看取りケアが必要な猫まで暮らしています。

 山本さんが自宅で30頭ほどの猫の保護を開始したのが2002年。地域ボランティアの人たちと役割分担しながら里親探しや、不妊去勢手術、啓発を経て任意の保護団体をスタート。

 外猫(野良猫)の不妊去勢手術と行政から受け入れた猫のケアをする病院の運営や、常設の猫の譲渡スペースとして国内初の開放型シェルター(猫カフェ)を開始しました。子猫だけではなく、成猫や「やむを得ない事情」で飼うことができなくなった猫の再譲渡事業立ち上げを経てNPO法人格を取得しました。

離乳後の子猫を昼夜わかたずケアするシェルターで、水頭症の猫を抱く山本代表

 猫は歴史的に屋内外に自由に出入りする環境の放し飼いの歴史が長く、外で繁殖を繰り返すため野良猫が増加してきました。そのため行政が公衆衛生の観点から捕獲して収容し、殺処分になってしまうということも少なくありませんでした。

 また、外飼いや野良猫は殺処分を免れたとしても、交通事故や感染症などに遭い、適切なケアを受けられないことから長く生きられないという不運もあります。獣医師や動物保護団体の尽力で「命を救う」観点から、不妊去勢手術が適切に行われ、繁殖数は抑制されてきています。同時に猫の室内飼いが定着してきていますが、十分とはいえません。

 最近では行政からの保護の他、飼い主が高齢になったり病気などや多頭飼育が崩壊した家庭からの引き取りに限らない傾向です。猫ブームの影響でブリーダー(繁殖業者)が繁殖に使えなくなった猫や、高齢になり病気や認知症などの理由で遺棄することも少なくないといいます。

行政は向き合って

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