「半年間、つらかった」 目黒区 被災者追出し裁判で控訴審〈2024年10月6日号〉
- 2024/10/4
- 都民運動
東日本大震災で被災し、宮城県気仙沼市から目黒区の応急仮設住宅で避難生活を送っていた女性(70)が、支援打ち切り後の家賃など高額な賠償を同区から請求されている問題で、控訴審の第一回口頭弁論が9月27日、東京高裁(筒井健夫裁判長)で開かれました。
東京地裁が3月25日に出した判決は、区の主張を全面的に擁護。女性に対し、820万6790円の賠償金の支払いを命じました。
女性は津波で自宅兼事務所を失い、病気で治療が必要な夫のため目黒区に避難しましたが、夫は18年10月に死去。年金暮らしで経済的な苦境が続いていますが、地裁判決は到底納得できるものではなく、女性は「他に選択肢がない」と、4月に控訴しました。
閉廷後に行われた報告集会で、代理人の山川幸生弁護士が地裁判決を振り返りつつ、法廷でのやり取りを解説。地裁は、都が住まいのない人たちをサポートする「TOKYOチャレンジネット」で女性が相談を受けたこと、区が民間賃貸物件の間取りなどのチラシ4枚を郵送したことなどを、「相当の支援措置」と判断。被災者への支援は、「各自治体の裁量に委ねられている」と示しました。
山川弁護士は、東京都や世田谷区などは、家賃が低い都営住宅、区営住宅を用意し、継続的な支援に取り組んだと指摘。国が定める「災害救助法」第3条に言及し、「本来、自治体側に幅広い裁量はない。地方自治法でいう法定受託事務(国が本来果たすべき役割に係る事務)であり、全国どこにいても同じように救助を受けなければいけない」と強調しました。

控訴審では、事実認定の誤りに対する反論をはじめ、被災者支援や災害復興などの研究者による専門家証人の意見書提出を予定し、法廷で争う構えです。
女性は「地裁の判決から半年間、夜も眠れないほどつらかった。できることは何でもやっていく」と、決意を述べました。
報告集会には、日本共産党と立憲民主党の目黒区議が出席。共産党の岩崎ふみひろ区議は、「被災者を守る区の姿勢が欠けている。どのような判決が出ても、区に請求させない取り組みが必要になる」と連帯を示しました。

東京民報2024年10月6日号より











