袴田巌さんに『無罪』判決 検察の証拠ねつ造を認定〈2024年10月6日号〉
- 2024/10/8
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「無罪という裁判長の声が神々しく聞こえました。58年の苦労がスカッと吹き飛びました」―、長年に渡り死刑囚として生きてきた元プロボクサーの袴田巌さん(88)の姉である袴田ひで子さん(91)の声に、支援者が拍手で労をねぎらいました。袴田事件の再審(やり直し裁判)で静岡地裁(國井恒志裁判長)は9月26日、巌さんの「無罪」を言い渡しました。同事件弁護団と全面的に支援した日本弁護士連合会が同日に記者会見を行いました。

控訴せず、真の自由を
巌さんは静岡県清水市(現静岡市)で1966年6月に起きた、味噌製造会社専務宅の強盗殺人・放火の容疑で逮捕され、三度目の再審請求がかない、昨年10月から裁判のやり直しが行われていました。
15回の審理の内、最大の争点は有罪の決め手とされた犯行時の着衣5点でした。着衣は事件から1年2カ月後に現場近くの味噌樽から発見され、赤い血痕が残されていた物。捜査段階では、ズボンのサイズが小さく巌さんが履けませんでした。
弁護団は、裁判で「味噌に1年以上衣類を付けると血痕の赤味が消えること」を専門家3人による知見として提出。國井裁判長は「5点の衣類は事件から相当な期間が経った後、捜査機関によって血痕を付けるなど加工され、タンクの中に隠されたものだ」と認定しました。