「刷新感」―自民党総裁選で繰り返し語られた言葉です▼裏金問題や統一協会との癒着など、底なしの腐敗が明らかになった自民党。それでも、腐敗の大元にある企業団体献金の禁止などの改革には踏み込まず、見せかけの変化を演出しようという狙いが、刷新「感」の言葉に分かりやすく表れています▼その総裁選で選ばれた石破茂氏が、10月27日の総選挙実施を表明しました。首相に選ばれる前に解散総選挙の日程に言及するのは、異例の対応です▼石破氏は総裁選期間中、「国民が判断できる材料を提供することは政府の責任であり、新総理の責任」だとして、予算委員会での一問一答のやり取りを経て、解散総選挙に進む考えを示していました。早期解散では、予算委員会の開催は難しく、自民党総裁選によるメディアジャックで上昇した支持率の力で、選挙を乗り切ろうという党利党略が見え透いています▼首相就任直後の高支持率を利用した解散は、岸田政権でも使われた手法です。総裁選で「ルールを守る政治」の実現を訴えてきたのに、ルールどころか自身の前言すらも平気で破り、古い自民党政治の手法をそのまま踏襲しようという石破氏。総選挙は、日本の政治の「刷新」を、「感」ではなく大元から実現する機会に。
東京民報2024年10月6日号より