潔白の白い拳「無実だ」 袴田事件 ボクサーらが検察に要請〈2024年10月13日号〉
- 2024/10/11
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「袴田さんは無罪だ」と、潔白の証である純白のバンテージ(拳や手首を保護するために巻く包帯)を巻いた拳を突き上げる声が霞が関に響きました。日本プロボクシング協会は3日、元プロボクサーの袴田巌さん(88)の再審(やり直し裁判)の静岡地裁での無罪判決を受け、東京高検に「控訴せず、一刻も早く裁判を終わらせて欲しい」との要請をはじめ、多彩な行動を展開。
袴田さんは1966年に静岡県で起きた強盗殺人事件で死刑判決が出され、48年間の獄中生活を強いられてきました。しかし、三度目の再審請求が認められた、やり直し裁判で9月26日に「捜査機関の証拠はねつ造であり無罪」との判決を受けています。検察が10日までに控訴しなければ無罪が確定し、真の自由を手にすることになります。
同協会は長年に渡り袴田さんを支援してきました。この日、東京高検への要請を前にボクシング関係者らが駆けつけて街頭での宣伝行動を行い、小林昭司(元WBA世界フライ級王者:セレス小林)会長をはじめ歴代の王者だけで38人の他、ボクシング関係者ら多くが駆けつけ、次々とマイクを握り「検察は控訴を断念すべきだ」などと訴えました。
東京高検要請には代表20人が参加。東京高検側は2人が対応して要請書を受領。「何がなんでも控訴しないで欲しいと訴えたが、私たちの質問には何も回答はありませんでした」といいます。
要請後、同協会は記者会見を実施。静岡地裁での無罪判決を振り返り「無罪を信じていたが、実際に判決を聞いて手が震えた」「判決後の姉のひで子さんの姿を見て心が熱くなった」などと語りました。「巌さんが88歳、ひで子さんが91歳で、残る人生を自由に生きさせて欲しい」と述べ、控訴すべきではないことを強調しました。
控訴期限を見据え、「真の自由を勝ち取るために、最後のゴングが鳴るまで戦い抜く」と表明。無罪確定まで支援の手を緩めないと語りました。
無罪確定へ
検察当局は8日、控訴を断念する方針を固めたと報じられました。
東京民報2024年10月13日号より