ゆがんだ教育が生む戦争 教育に自由と人権求め集会〈2024年11月3日号〉

「シオニズム運動がなければ今、ここにいない」とジレンマを語るイスラエル軍の元兵士・ダニー氏=2024年10月20日、千代田区

 東京都教育委員会(都教委)が都立学校の教職員に対し、卒業式や入学式などで「日の丸・君が代」の起立・斉唱を強制する「10・23通達」を発出して21年となる10月20日、学校に自由と人権を求める集会が日比谷図書文化館(千代田区)で開かれました。主催は「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会など、8団体。155人が参加しました。

 「10・23通達」で処分された教職員は、延べ484人。被処分者の会の近藤徹事務局長が、「『戦争は教室から始まる』と言う。『日の丸・君が代』の強制は戦争への道」であると、主催者あいさつで訴えました。

 イスラエル軍の元兵士で、家具作家・平和活動家のダニー・ネフセタイ氏が、非戦論をテーマに講演。イスラエルとパレスチナの約2000年におよぶ対立の歴史や、イスラエルの徴兵制について説明。「国を守らねばならない」「国のために死ぬことは素晴らしい」とする、ゆがんだ教育により、疑問を抱くことなく兵役に行った自身の体験を踏まえ、「人間は簡単に、被害者から加害者になる」と語りました。

 イスラエルとパレスチナの武力衝突が激化した23年10月7日前後におけるイスラエル人の心理状態を見ると、7日以降に約30%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症。ダニー氏は「国民の3人に1人がメンタルケアを必要としている」と指摘。戦争の犠牲者は殺された人、永遠に泣き続ける遺族、殺した人であり、これらの人々は、「戦争時に生まれたこと」「政治家の間違った判断」「洗脳とプロパガンダ(主義や主張を強調する宣伝)」の犠牲だと強調。教育の重要性を説きました。

 ミュージシャンの辻村マリナ氏のライブ「それはきっと勘違い」が終わると、東京「君が代」裁判五次訴訟の原告が、12月16日に東京地裁で結審を迎えることを報告。弁護団の澤藤統一郎弁護士は「この裁判は立憲主義の根幹を問うもの」だと主張し、「教育は権力のしもべであってはならない」と訴えました。

 最後に、子どもたちを再び戦場に送らないため、「日の丸・君が代」の強制と都教委による教育破壊を許さず、ともに闘うことを呼びかける集会アピールが採択されました。

東京民報2024年11月3日号より

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