横田基地から、発がん性が指摘されるPFAS(有機フッ素化合物)を含む水が8月30日の豪雨で基地外に流出した問題で、日本共産党の山添拓参院議員と同党都議団、地元市議、住民らが1日、防衛、環境両省をただし、国として同基地への立ち入り調査を求めました。

米軍の説明によると、水があふれたのは、横田基地北東部にある消火訓練エリアの貯水池。貯められた水に、過去の航空火災訓練で使用したPFASを含んだ泡消火剤が入っており、その濃度は23年11月時点で1620ナノグラム/リットル(国の暫定目標値は50ナノグラム/リットル)だったといいます。普段は、定期的に水を回収して水位が高くならないよう管理していましたが、豪雨で貯水池から水があふれ、雨水排水系統をたどって基地南西部の福生市側の排水口から約4万7千リットルが流出したとみられると説明しています。
インターネット上の衛星画像や航空画像では、訓練施設に隣接して貯水池らしいものが確認できます。
山添氏らは「発生から1カ月も経って公表されたのは重大だ」と批判するとともに、米軍の説明でも不明な点が多いとして、詳しくただしました。
防衛省の担当者は、「横田基地周辺自治体に説明した資料以上のことは、現時点で公表できるものはない」という説明に終始しました。

公共用水域を調査
また、防衛省担当者は新たなこととして、基地周辺の公共用水域(河川や湖沼、水路など)で水質検査を行うことを明らかにしました。参加者は、「流出から時間が経っており、河川などは濃度が低くなっている可能性が高い」として、土壌や井戸水なども調査すべきだと求めました。この問題では、東京都が横田基地周辺の川の3地点で水質調査をした結果を10月30日に公表しており、いずれも国の暫定目標値以下のPFAS濃度となっていました。
福生市の市毛雅大議員は、「これは命の問題だ。米軍が基地外への流出を認めたのは初めてのことだ。防衛省も住民とともに、米側に徹底的な解明を求めてほしい」と語るなど、政府の姿勢を批判する発言が相次ぎました。
また、アオヤギ有希子都議は、衛星画像では、消火訓練エリアの周りが芝生になっており、貯水池から水がアスファルト上にあふれたとする米軍の説明を疑問視。山添氏らが、日米の環境補足協定で、立ち入りの要件を環境に影響を及ぼす事故が「現に発生した場合」としていることを踏まえ、横田基地への立ち入り調査で、現状を調べるべきだと求めました。
東京民報2024年11月17日号より