【書評】戦争の愚劣さの告発記録 『終戦日記一九四五』 エーリヒ・ケストナー 著/酒寄進一 訳〈2024年11月17日号〉

岩波文庫 2022年
1067円(税込)
えーりひ・けすとなー ドイツの児童文学作家、詩人。『エーミールと探偵たち』など
さかより・しんいち 24年に『ケストナーの戦争日記』全訳を岩波書店から発行

 エーリヒ・ケストナーは、『エーミールと探偵たち』などの児童文学で知られているドイツの作家です。ケストナーは、ファシズムを非難していたため、一九三三年にナチスが政権を掌握したあと、作家活動を禁止され、著書は焚書の憂き目にあってしまいます。

 ケストナーは、ドイツ国内に残留し、ナチズムに迎合しない「内的亡命者」の道を選び、「青い本」と呼ばれている日記帳をひそかに書き残しました。見つかれば強制収容所送りとなる生命の危険と背中合わせの中で、一九四一年、一九四三年、 一九四五年に書いたものです。

 その記録は皮肉とユーモアを交え、ドイツに留まった内的亡命者にしか書けない貴重なものとなっています。

 本書は、その一つの一九四五年の日記です。ナチスの残虐とナチス終えんのリアルな姿、終戦直後の混乱を克明に記録しています。

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