非正規にも10%賃上げを 非正規春闘が始動会見〈2024年12月8日号〉
- 2024/12/9
- 労働・市民
労働組合のナショナルセンターの垣根を越えて個人加盟の労働組合などが連帯して非正規労働者の賃上げを求めてきた「非正規春闘」が、2025年春闘の取り組みを前に2日、厚生労働省で記者会見を行いました。3回目となる今回は東京公務公共一般労働組合が参加を決め、「非正規公務員の賃上げも含めて要求とする」としています。
会見では首都圏青年ユニオンの尾林哲矢執行委員長が「今年の春闘は23年ぶりに賃上げ率が5%を超え、大きな成果が上がっていると報告されているが、非正規労働者や労働組合に加盟していない労働者には恩恵がない。今年9月の実質賃金は2カ月連続の低下となっている」と報告。「最低賃金の引き上げが過去最高の上げ幅となっているが、シフトカットや年収制限による労働抑制、中小企業支援の脆弱さを背景に、非正規労働者の待遇改善には至っていない」と強調しました。
生活協同組合労働組合連合の渡辺利賀書記次長は資料を示し、低すぎる課税最低限(103万円)をめぐり「(生計費調査を根拠に)衣食住にかかる費用は非課税にすべきで、課税最低限度額は144万円必要だ」とした上で、「家族の在り方が多様化する中で世帯でしか認められていない配偶者(特別)控除などの見直し」について言及。「最低賃金を時給1500円にして社会保障の充実、国民すべてに月8万円の最低保障年金を」と訴えました。
2024非正規春闘は117社に要求を提出し47件で有額回答を受けたことから、2025同春闘ではより規模を広げて非正規公務員や保育、介護などのケア労働でも対応するとしています。
市民直結の部門なのに
会見には非正規で働く労働者も複数人参加。三多摩地域の公立保育園で保育士として働く女性は「時給は20年以上、上がらず1240円。月20日勤務して月17万円弱だ」と告発。「インフルエンザやコロナなどにかかると5日は休まざるを得ず、給与は減る。子どもたちのためと思って頑張っているが、市民と直結する部門や専門職の半分が非正規で低賃金というのは異常だと思う」と訴えました。
非正規の公務員は現在、会計年度任用職員とされ、責任は正規と同じでも待遇は1年雇用という生活設計が立てにくい雇用状態にされています。しかし、賃金は人事院勧告の影響を受けず、最低賃金制度が適用となっていることが大半のために低賃金で責任だけが重い状態に置かれています。
公務公共一般労組の原田仁希氏は「地域による賃金格差が存在する。あまりに低賃金で、保育や学童保育では人が集まらず人員不足が深刻化している」と実態を訴えました。
同春闘では①10%以上の賃上げ②手取りを減らさず、年収の壁を乗り越える分の大幅賃上げ③ケア、物流、非正規公務などの低賃金構造の打破④正規、非正規の均等待遇(同一価値同一労働同一賃金)⑤全国一律の最低賃金時給1500円の即時実施-を、要求に掲げて行動すると同時に経団連など経営者団体への申し入れの他、メールなどを使った相談活動に取り組むとしています。
東京民報2024年12月8日号より