【書評】貸し出されるのは「人」『ニューヨーク精神科医の人間図書館』ナ・ジョンホ 著/米津篤八 訳〈2024年12月15日号〉

柏書房 2024年
1980円(税込)
な・じょんほ イェール大学医学部精神医学科教授。精神科受診のハードルを下げるため、文筆活動を続けている
よねづ・とくや 朝日新聞社勤務を経て、朝鮮語翻訳家

 社会的弱者やマイノリティーに対する大衆の偏見を減ずるための最も効果的な方法は、差別される人たちと直接会うことである、と著者は言う。それを証明する実際の事例がデンマークから始まった「人間図書館」で、今では世界80数カ国で進められているという。ここで借りられるのは本ではなく「人間たち」。エイズ患者、移民、トランスジェンダーなど、社会的弱者と言われる人が彼らの貴重な時間を貸してくれる。時間は30分程度。「人間図書館」で人と人が互いに知り、触れ合う過程は、精神科医と患者との面接にとてもよく似ているという。

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