WEB版 火事の多い季節 東京消防庁に聞きました〈2024年12月22日号〉
- 2024/12/18
- ニュース
火事が増える冬の季節、注意点を東京消防庁に聞きました(12月22日号 4面で、東京消防庁の消防博物館を取材、掲載しています。そちらもご覧ください)
◇火気のないところで火災が
昨今は、火が出ない暖房機器による火災の発生が顕著だといいます。特に多いのが「電気ストーブ」で、過去5年のストーブが原因の住宅火災539件の内、電気ストーブが原因となるものが395件で7割を占めています。2023年は住宅火災の死者9人全員が電気ストーブによるものだとして注意を促しています。①ストーブの周りに可燃物を置かない②衣類などを干さない③就寝時はつけっぱなしにしない―という、「3つのない」は守らなくてはいけません。
◇こんなところも要注意
2023年の住宅火災の死者は67人で、内原因は多い順に▽たばこ(14人)▽ストーブ(9人)▽こんろ(6人)▽コード(4人)が半数近くを占めているといいます。
東京消防庁では寝たばこをしないのはもちろんのこと、吸殻を灰皿やゴミ箱にためない他、「水をかけて完全に消火すること」を呼びかけています。ストーブでは前記に加え、スプレー缶などを近づけないことも大事だといいます。こんろは調理中に離れない、周囲に燃えやすいものを置かない。さらには換気扇や魚焼きグリルの定期的な清掃も防火に寄与します。電気コードもタコ足配線や、家具の下敷きにしたり、束ねたままの使用、折れ曲がりも過熱・発火の危険があると警鐘を鳴らしています。
◇万が一の備えとして有効策は
東京消防庁は、こうした出火防止対策の他、万が一の際に「早く気付く」「早く消す」対策が必要と強調します。早く気付くために住宅用火災警報器の設置・維持管理、早く消すために消火器、住宅用消火器、エアゾール式簡易消火具の設置・維持管理を呼び掛けています。
消火器による初期消火は、火災の被害軽減や抑制に効果的です。消火器具(消火器及び簡易消火用具)の設置が義務付けられた防火対象物の火災において消火器具を使用した場合、7割以上で被害軽減効果がありました。
住宅用火災警報器と同様に消火器にも使用期限(業務用概ね10年、住宅用概ね5年)があります。古くなった消火器は破裂する危険があるため、定期的に交換しましょう。消火器を廃棄する場合は、消火器リサイクル推進センター(https://www.ferpc.jp/ 03-5829-6773)等にお問い合わせください。
◇バルコニーに物を置かないよう努めて
共同住宅(マンション、アパート)のバルコニーは有事の際の避難経路となり得ることから、「植栽などの物品残置は避難や消火活動の妨げになる可能性がある」といいます。そのため、バルコニーには「物品を置かないよう努めて欲しい」と訴えています。
避難はしごの上に植木鉢やプランターを置いてはいませんか。隣室との仕切り板(蹴破り戸)前に簡易物置やストックケースなどを設置してはいませんか。流行りのバルコニー菜園やガーデニングも命を守るためにも注意が必要です。
◇いざ、どのように避難すべきか
消火器が使用できる場合は、必ず通路を確保した上で使用してください。「火が天井に届いた場合は消火器での初期消火はあきらめ」、姿勢を低くし、ハンカチで口と鼻を覆い避難してください。
集合住宅においては、階段が使用できる場合は、階段で避難します。避難する際には、姿勢は低くして煙を吸わないようするとともに、煙や炎が他へ燃え広がることを防ぐために閉められる扉はすべて閉めてください。
なお、避難の際にエレベーターは、使用しないようにしてください。
階段が使用できない場合は、外気に面した窓のある部屋へ一時的に避難し、出入口の扉を確実に閉めて煙の侵入を防ぎ、窓、バルコニーから手を振って消防隊の救助を待ちます。
また、バルコニーに蹴破り戸がある場合は、その蹴破り戸を破り隣に避難したり、避難器具が設置されている場合は、避難器具を使用して避難したりすることもできます。
避難した後は、再び建物に戻らないようにしてください。
東京民報2024年12月22日号より












