1872(明治5)年に日本で初めて開業した鉄道の遺構「高輪築堤」(港区)をめぐり、港区教育委員会が9月18日から進めていた残存状況などを確認する調査で、新たに遺構が検出された9カ所のうち1カ所(港区高輪3)を、8、9の両日に一般公開しました。

2日間の見学会には、延べ4306人が来場。公開された遺構は劣化を防ぐため、すでに埋め戻されています。
高輪築堤は、新橋と横浜を結ぶ総延長約29キロのうち、現在の田町駅から品川駅付近までの約2.7キロにわたり、海上に線路を敷設するために築かれた鉄道構造物。品川駅改良工事や、JR東日本が手掛ける大規模開発「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」で出土し、これまで計約1・3キロにおよび築堤が確認されています。
同開発の第Ⅰ期工事エリア(1~4街区)で出土・調査された約900メートルのうち、計約120メートルのみ国史跡として保存。高輪ゲートウェイシティは来年3月27日にまちびらきを行い、国史跡の築堤は、27年度に公開予定です。
今回、公開されたのは、第Ⅱ期工事エリア(5・6街区)内の一部。根石と4段の築石、それらを支える裏込め石で構成された海側に面する石垣(幅約2メートル、深さ約4メートル)のほか、石垣の崩落を防ぐ胴木や留め杭、築堤を波から防ぐ群杭などが、良好な状態で出土しました。
現地で開発計画の説明を行っていたJR東日本の担当者は、「(第Ⅱ期の)開発計画はあるが、高輪築堤の保存と開発をどう両立させるか、これから整理をしていくことになるだろう」と話しました。
「高輪築堤の全面保存を求める会」の東海林次男共同代表は、「今回の調査を踏まえて、築堤の保存を前提に開発計画を立ててほしい」と述べました。
東京民報2024年12月22日号より











