安全性担保する規定なし リニア新幹線 気泡噴出で国交省聞き取り〈2025年1月12日号〉

 地表から40メートル以深の大深度地下にトンネルを掘るリニア中央新幹線の「調査掘進」が進む第一首都圏トンネル「小野路工区」(町田市)で、ルート上に位置する民家の庭に気泡と水が噴出した問題をめぐり、日本共産党は12月25日、衆院議員会館(千代田区)で国土交通省に聞き取りを行いました。事業主体のJR東海が、12月19日に工事との因果関係を認めたことを受けたもの。

国交省に説明を求める山添氏ら=2024年12月25日、千代田区

 同党の山添拓参院議員や町田市と品川区の地方議員、リニア沿線ルートの住民らが参加。国交省からは鉄道局と、大深度地下の使用認可に関係する不動産・建設経済局が出席しました。

 小野路工区で発生した泡と水について、JR東海は①掘削断面から表層部までに水や空気を遮るものがない②山麓と平野の間など地層の境目で、水や空気が集まりやすい③地下水面が地表面から浅い位置にある④地下水や空気の通り道となる人工的な孔などが存在―と、「複数の条件が重なる通常とは異なる現場状況」であり、「シールドマシン(掘削機)の泥土圧の設定がやや高かった」ことが原因だと説明しています。

 JR東海は12月21、22の両日に、小野路工区周辺住民に向けたオープンハウス型説明会を開催。参加者は、「JR東海から調査掘進を1月以降に再開し、2月上旬には終わらせたいと説明を受けた」と語っています。

 同工区でJR東海は、住民に対して十分な説明を行わず、承諾を得ないまま、12月24日から5メートルの「保全掘進」を強行。JR東海は保全掘進に伴い、砂層に滞留している地下水や気泡材由来の気体が地上に湧出する可能性があるとしており、住民は国交省への聞き取りで、「周辺住民に何よりも先に説明すべき」だと訴えました。

 鉄道局の担当者は、「(JR東海からは)地権者と話しをした上で、保全掘進を進めていると聞いている」と答えました。

 山添氏は、JR東海が原因の一つとして示している「人工的な孔」について言及。鉄道局は「古井戸」だと明かし、「古井戸の存在を事前に把握できていなかった。改めてルート周辺を確認したい」と述べました。

 山添氏は不動産・建設経済局に対し、「(大深度地下使用法の使用認可申請手続きに含まれていない)さまざまな予備調査の必要性があるとすれば、認可の前提が崩れる」と指摘。同局は、「事業者が適切に対応すべきもの」だと返答しました。

 「北品川工区」(品川区)で目黒川から24年8月から気泡が発生している事象について、12月19日に品川区がJR東海に対し、気泡の原因究明を求める要望書を提出したことを安藤たい作区議が説明。大深度地下の問題が話題にのぼると、同局は「法律上、工事の安全性を担保する規定はない」と発言しました。

 山添氏は、「想定外の地下状況が、また必ず現れる」と強調し、有識者会議の議事録の提出を要求。鉄道局は「JR東海に直接問い合わせてほしい」と答えるに留まり、山添氏は「大深度地下法の法改正が必要だ」と、厳しくただしました。

東京民報2025年1月12日号より

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