再開発による街壊し 補助26号線と大山商店街 全都連絡会が調査〈2025年1月19日号〉

 東京都は防災性の向上を名目に、2025年度までに都市計画道路「特定整備路線」(28路線・延べ約25キロ)の全線整備を狙っています。道路建設に反対する住民でつくる「特定整備路線全都連絡会」は11日、補助26号線(延長375メートル・幅員20~23メートル)の延伸計画と連動して大規模な再開発が強行されている、東武東上線大山駅南口に直結するハッピーロード大山商店街(板橋区)を歩き、現地調査を行いました。

解体されたハッピーロード大山商店街のアーケード=2025年1月11日、板橋区

 調査には、特定整備路線の建設で立ち退きを迫られている住民だけでなく、日本共産党の山内えり板橋区議、本田正則、ながいともこの両北区議、小林ひろみ豊島区議、国会議員団東京事務所員らも参加しました。

 補助26号線の建設は、長さ約560メートルのアーケードがシンボルとなっているハッピーロード大山商店街を分断する計画。区は「商店街の連続性を確保し、にぎわいの維持・向上を図る」ことを理由に、補助26号線の整備と一体的に、「大山町クロスポイント周辺地区」(愛称「クロス大山」、1月8日に全4街区工事完了公告)と、「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区」(2028年度に建物竣工予定)、2つの大規模な第一種市街地再開発事業を進めています。

 この再開発事業により、計4棟の超高層ビルが建設される予定。補助26号線整備と再開発事業により、24年4~9月の1期工事で、同商店街のアーケードが一部(約68メートル)、反対する住民の声を無視して解体されました。2期工事は未定です。解体されたアーケード部分に面する形で、すでに2棟の超高層ビルがそびえ建っています。

 さらに補助26号線の整備に伴い、大山駅前の「駅前広場整備事業(板橋区画街路第9号線)」を区が、大山駅付近を約11メートル高架化する、東武東上線本線の「連続立体交差事業」(延長約1.6キロ)を都が計画。1日に3万人以上が訪れる同商店街と、住環境の破壊が進んでいます。

生徒増で改築計画

 参加者は、山内区議と前板橋区議で「補助26号線を考える会」事務局の金崎文子氏の案内のもと、「立ち退き強制に反対!!」「26号都道延伸に反対!」と訴えるのぼり旗が掲げられた商店街や周辺の住宅街を視察。店舗立ち退き後の更地、完成した超高層マンションなど、両氏の説明に耳を傾けながら見回りました。

 金崎氏は、「アーケードの解体は、あくまで補助26号線を通すためだと説明を受けた。しかし、まだ道路が通る見込みはない」と強調。補助26号線の用地取得率は24年3月末の時点で、いまだに51%。参加者は、「明らかにタワーマンションを建てるための道路計画だ」と指摘しました。

 山内区議は、再開発の影響による人口増加に言及。「区立板橋第六小学校は、現在約370人の生徒が倍以上に増える予定。改築の計画を立てており、校舎の位置が変わる可能性もある」と話しました。

立ち退くも戻れず

 視察後の懇談会には、同商店街の元理事長で「大山問題を考える会」の大野厚氏が参加。大野氏は、「再開発で30店舗が商店街から立ち退いた。3店舗は再開発ビルに戻る予定だったが、管理費や修繕積立金などの諸費用が高く、営業時間や定休日といった条件も合わず、入居できなくなった。自力で営業を始めるのも難しい」と、退去に追い込まれた店舗の現状を語りました。

 都は用地取得を強権的に行うため、建設局用地部に63人規模の「機動取得推進課」を24年4月に設置。参加者からは「土地所有者の署名押印がなければ進まない。土地収用は簡単にできないだろう。今が頑張り時だ」など、さまざまな意見や感想が飛び交いました。

東京民報2025年1月19日号より

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