法整備で規制、速やかに 昭島・日野市 DC進出めぐり聞き取り〈2025年1月26日号〉
- 2025/1/26
- 気候危機・環境
社会経済のデジタル化が進むにつれ、膨大な情報を蓄積するデータセンター(DC)の市場規模は拡大し、東京・大阪圏を中心に、国内各地でDCの進出が続いています。日本共産党国会議員団東京事務所は15日、昭島市と日野市で進む巨大DCの建設計画をめぐり、排熱やCO₂(二酸化炭素)の排出、大量の電力消費など、地域住民が懸念する問題について、総務、経済産業、環境、国土交通各省の担当者に、参院議員会館(千代田区)で聞き取りを行いました。

同党の山添拓参院議員、アオヤギ有希子都議、昭島、日野、立川の市議、DC建設の見直しを求める住民運動関係者らが参加しました。
昭島市では、外国資本の物流不動産デベロッパー「GLP」(本社・中央区)が、閑静な住宅街に隣接するゴルフ場跡地(つつじが丘一丁目)など約58.8ヘクタールの区域に、DC8棟(高さ各約35メートル)、物流施設3棟(高さ約40~55メートル)を整備する計画。CO₂排出量と電力消費量は、それぞれ昭島市全体の約4倍、約6倍にのぼると住民団体は試算しています。
物流施設には、1日に約5800台ものトラックが往来する見込み。渋滞の悪化や交通事故なども、危惧されています。
昭島市議会は24年12月17日、石破茂首相や経産省などに意見書を提出。▽周辺地域の生活環境を守る法整備▽脱炭素化を図り、排熱を含む施設全体のエネルギー管理を義務付ける法整備と、自然エネルギー由来の電力発電の施策展開ーを強く要望しました。
日野市では、住宅地に接する日野自動車工場跡地(日野台三丁目)の敷地約11ヘクタールに、三井不動産が最高高さ約72メートルのDC3棟を建設する予定。事業者側は「機密性が高い施設」として、住民説明会でも電力使用量やCO₂排出量などの詳細は公表せず、一方的に計画が進んでいます。
排熱規制議論なし
聞き取りで、昭島市議会が提出した意見書に対し、経産省は「新設されるDCが満たすべきエネルギー効率を設定し、その効率を開示してもらい、社会全体で効率改善を促していく形で制度を組んでいる」「可及的速やかに制度の具体化、施行に向けて進めていく」と、1月10日に開かれた「省エネルギー小委員会」で提示した政策案に基づき説明。自然エネルギー由来の電力発電の推進について、経産省は「省エネを進めると同時に、脱炭素電源の確保も促進する」と回答。環境省は、「個々のDCに、太陽光発電などの再エネ設備の導入を支援している」と述べました。
DCの進出に住民から多くの懸念が示されている現状に関し、経産省は「建設にあたり、関係法令や条例を遵守することは当然。事業者に改めて、適切な対応を取るよう働きかける」と返答。DCの排熱問題をめぐり、環境省は「関係省庁と活用を検討する」と答えました。
山添氏は、「DCの計画に対し、現法令では正面から規制ができない」と指摘。法整備の必要性を強調しました。
整備状況把握せず
全国のDC整備状況について山添氏が質問すると、経産省は「秘匿な情報を扱う施設のため公表されていない。認識している限りでは、23年時点で全国に約500棟あると聞いている」と述べ、国内のDC規模が把握できていない状況が明らかになりました。
昭島市からの参加者は、「排熱量を試算すると、一般的な25メートルプールの283杯分の水を沸騰させられるほどの熱が毎日排出される。さらに、(DC建設のために)推定3000本の樹木が伐採され、周辺の気温が2.5度上昇する試算もある。排熱を活用するという次元ではないのではないか」と追及。経産省は「排熱の規制は我々の範囲を超える」として、環境省ともに排熱の規制に関する法律はなく、議論もされていない現状が浮き彫りになりました。
アオヤギ都議は、「都内の年間温室効果ガス排出量の3%を(GLP)一社で出す。都の脱炭素化は4.4%しか進んでいない中、GLPが稼働すると3%後戻りする。対策が必要」だと発言。昭島の佐藤あや子、立川の若木さなえ両市議は、物流施設による交通量の増加にふれ、「命の問題として捉えてほしい」と訴えました。
東京民報2025年1月26日号より











