海上ルートこそ検討を 共産党「固定化回避」で聞き取り〈2025年2月23日号〉

 羽田新ルートの「固定化回避」検討会が2年4カ月ぶりに昨年末に開かれたことを受け、日本共産国会議員団党東京事務所は6日、国土交通省に、検討内容の説明を求めました。国会内の会場には、共産党の国会議員団から山添拓、吉良よし子の両参院議員、都議団から白石たみお、藤田りょうこの両都議、区議団からは関係地域の区議が参加しました。

固定化回避検討会の内容を質す山添議員と吉良議員(前列右)、各議員=2025年2月6日、国会内

 国交省の担当者によると、昨年12月に開かれた第6回検討会は、二つの飛行方式にしぼって安全性の評価を検討。一方は、安全性が確認できないとし、他方は安全性が確認できるものの、未対応の機材があり、市街地上空の飛行が避けられないため慎重な対応がいるなどとして、今後も検討会を継続するとしました(2月9日付既報)。

 担当者の説明で分かったことは、新ルートの着陸飛行コースはAとCの2本あるうち、検討会で検討してきたのはCコースだけ。Aコースは検討もされず、安全性を確認されたコースの方も市街地の上を通すことに変わりはないことです。

 国会議員から「これで『固定化回避』といえるのか」との声が上がり、「固定化回避の名で都心上空の飛行を固定化するものだ」と批判。海から入り、海へ出る従来ルートこそ検討すべきだと強調しました。

 地方議員からは、新ルートの導入に際し、国交省が「従来の海上ルートでは時間当たり82回の運航が限界だから90回まで可能な新ルートが必要」と説明してきたのに、従来ルートでも82回を超える例がいくつもある点を問題に。従来ルートで可能なら「新ルートはとっととやめたら」と説明を求めました。

 担当者は、指摘のようなことが「起きているのは事実だが、気象条件などにもよる。新ルートは千葉との負担の共有ということもある」としたため、「負担の共有」を巡って議論に。

 江戸川区では、南風悪天候時の場合は、区内を低空で羽田へ向かう飛行コースによる騒音負担に悩まされてきました。そのうえに、北風時に羽田からの離陸機が荒川沿いを低空で北上する新ルートが加わり、区民は二重の負担を強いられています。同区の議員は「南風悪天候時に年間6千から8千機に加え、北風時の新ルートは年間3万機が新たな負担になっている。千葉との負担共有というが、区民は何の説明も受けていない。区民になぜ説明しないのか。納得できない」と質しました。

 国交省側は、南風悪天候時の飛行がやや改善されたとしたものの、区民への「負担の共有」の説明がない点は、返答に窮し、納得のいく説明はありませんでした。

 大田区からは小学校の騒音負担の増加や着陸をやり直すゴーアランドの増加による負担の増大を指摘されるなど、「負担の共有」を巡って、批判的意見が続出しました。

東京民報2025年2月23日号より

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