旧日本兵 PTSDの実態調査を 家族会らが厚労省に求める〈2025年2月23日号〉

布に包んだままで、見ることができない父の写真を手に、厚労省担当者に語る藤岡さん=2025年2月13日、千代田区

 旧日本軍の兵士が、戦場の現実や加害行為のために、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した実態と、家族への影響の調査を求めて活動する市民組織「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」は13日、国会内で厚生労働省と面会しました。

 代表の黒井秋夫氏(76)は、米軍の資料で、従軍した米兵の20~50%に治療を要するPTSDが発表していることから、アジア・太平洋戦争に従軍した日本兵800万人に当てはめると、300万人前後が発症したと推計でき、「1人の兵士に5人の家族がいるとすると1500万人が影響を受けたことになる。まさに国民的課題だ」と発言しました。

 「家族会」のメンバーが体験を話しました。大阪市の藤岡美千代さん(66)は、従軍やシベリア抑留を経て47歳で自死した父について、「酒を飲むと暴れ、殴ったり、蹴ったりする父から逃げることが日常だった」と回顧。「父が死んだとき、死んでくれてありがとうと思った。ずっと、父は自分の人生にないものとして生きてきた」として、「今でも、父の写真は、怖くて見ることができない。父はなぜ47歳で死ななければいけなかったのか、きちんと私に報告し、父と“対面”できるようにしてほしい」と強く訴えました。

 黒井さんも、「戦後、抜け殻のようで定職にもつかなかった親父のことを、60数年間、ダメな人間としか思えなかった。戦場のPTSDについて知り、初めて気づくことができ、会をつくった。国の責任で、旧日本軍兵士のPTSDの実態を調査して影響を把握することが、対応の第一歩だ」と求めました。

 厚労省の担当者は、国の戦傷病者資料館「しょうけい館」で、兵士の心の傷に関わる展示を2025年度中に始められるよう、調査を進めていると説明。参加者から「日本兵のPTSDの実態が構造的にわかり、二度と戦争をしてはならないと伝わる展示にしてほしい」などの要望が出されました。

 日本共産党の宮本徹前衆院議員、本村伸子衆院議員、社民党の大椿裕子参院議員が同席しました。宮本氏は、2023年3月に日本兵のPTSD問題を国会で初めて取り上げ、厚労相が国として調査すると答弁しました。

東京民報2025年2月23日号より

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