1971年、再開発が始まったばかりの新宿区西新宿に、あるホテルが生まれます。当時のホテルでは世界一の高さを誇った「京王プラザホテル」です▼その後、周辺には数々の超高層ビルが建てられ、1991年には東京都庁が移転しました。同ホテルは、歴代都知事や、都議会与党、さらには業界団体などがパーティーや会合を開く場としても知られてきました▼そのホテルで2019年に開かれた都議会自民党の政治資金パーティー「飛躍のつどい」が、都政を揺るがしている裏金事件の舞台です。共産党都議団が入手した内部文書では、100枚のチケットを各都議に渡しながら、50枚分だけの代金を会派に納める「中抜き」が、堂々と記されていました▼開会中の都議会で、最初の焦点となった、政治倫理審査委員会の設置案は、自民、都ファ、公明などの各党が反対し否決しました。裏金の実態解明に背を向けるこれらの党が設置したのが、政治倫理条例検討委員会です▼同委員会の目的は、「条例の検討」です。とはいえ、条例が目指すべきことは、裏金事件のような事態の再発防止。それならば、共産党都議団が求めるように、都議会自民党の裏金議員を参考人招致するなど、徹底的な実態の解明があってこそ、です。
東京民報2025年3月9,16日号より