賃上げ好調、どこの話? 非正規や中小の春闘でスト〈2025年3月23日号〉
- 2025/3/22
- 労働・市民
テレビや大手新聞が「今年の春闘は満額回答以上もある。連合(日本労働組合総連合)はベア(基本給を底上げするベースアップ)と定期昇給を合わせた大手の正社員の賃上げ率が、初回集計で平均5・46%と発表」、「中小は今後、本格化」あるいは「中小は福利厚生で援助」と報じて、明るい兆しを演出しています。しかし、労働人口の7割を占める中小企業や、大手でも非正規で働く人たちの春闘では「どこの国の話だ」と憤りの声が上がります。

「時給1163円(東京都の最低賃金)で、月に10万円程にしかならない賃金で生活が出来ますか。従業員である私たちをコストと呼び、命に直結するささやかな要求に背を向け続ける経営陣に向けて、人間の尊厳と生活を守るために人生初のストライキに打って出た」という声が丸の内に響き、外国人観光客が足を止めて動画を撮影する姿もありました。今年で3回目になった非正規春闘(ことば)・統一ストライキ行動が10日、10社以上で行われました。同春闘では一律10%の賃上げを掲げています。
書籍の大手取次の物流センターで働く非正規雇用の労働者で構成する「出版労連・出版情報関連ユニオン取次支部」は、親会社のアウトソーシング社前で声をあげました。同支部は▽出版不況により仕事がないからと早帰り(シフトカット)を強要され、その分の時給がカット▽有給休暇の賃金は6割しか支給されない▽10年以上賃上げがない―など、異常な実態を告発。さらに「団体交渉で会社は『黒字で賃上げはできるけれど、コストの関係から、するつもりはない』と述べ、労働者をモノ扱いしている」として時給150円アップと一時金などを求めてたたかっています。
参加者も「立派なビルに入居する本社と産業は、最賃ギリギリで働く人が支えている」「従業員の最低限度の生活さえ守れない経営者は淘汰されるべき」などと口々に語り、企業の社会的責任を果たすように求めました。
同日、非正規春闘実行委員会が記者会見を開きました。今回、初めて参加する公務非正規の組合では10自治体に賃上げ要求を出しているなどと公表。首都圏青年ユニオンに加盟する大手回転寿司スシローで働く非正規雇用の労働者は「1月10日に申し入れてから2回、団体交渉をしたがゼロ回答だ」として、地方と東京でストライキを決行すると述べました。











