【書評】お話は生き残り方のレシピ 『おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか』 ウェルズ恵子 著〈2025年3月23日号〉

 人類の大多数が飢餓や病気や戦争におびえていた時代には、この世の暗さが圧倒的で、人は想像で自分の内側に光を探さなければ生きてゆけなかった。だからおとぎ話はあるのだと著者は言います。また、おとぎ話の主人公は圧倒的に女性が多い。それは女性が弱者だったからこそであると。2千年以上も前から語り伝えられてきたお話は、今もディズニー映画などで趣向を変えつつ繰り返し作られています。不幸で残酷な運命から生き延びて最後はハッピーエンドを迎えるパターンが好まれるのでしょう。

岩波ジュニア新書 2024年
1034円(税込)
うぇるず・けいこ 詩、歌、物語(=声の文学)の研究者。立命館大学名誉教授。著書に、『フォークソングのアメリカ』など

 むかし話は残酷です。主人公は多くの試練をくぐり抜けなければなりません。その過程で人間として成長し、生き抜く力を蓄えます。その困難さを4種類のパターンで紹介しています。口が聞けない、言葉が封じられているという制約、「美女と野獣」のように相手が魔物であるという恐怖、身体を切り取られるという残酷、知りたいという好奇心がもたらす悲劇。

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