子がいる夫婦が離婚する際に双方の協議(同意不可能な場合は裁判所が判断する)により、両親が共に親権を有することが選択できる、いわゆる〝共同親権〟が盛り込まれた改正民法の施行が2026年5月に迫っています。「現状の単独親権では別居親が子どもに会わせてくれない」などの抽象的で不正確な情報がまん延してきた一方で、離婚などの実務に多く携わってきた弁護士やDV被害者らからは不安の声が上がっています。衆院法務委員会で弱者の立場から意見陳述を行った、この問題の第一人者である岡村晴美弁護士に話を聞きました。

改正民法では親の責務に対する規定が新設され、「子どもにとって最善の利益となる」ことが大前提とされています。親の責務には「子の人格を尊重するとともに、子どもを養育せねばならず、親と同程度の生活を維持できるように養育しなければいけない」として人格の尊重と扶養義務が明記されました。
また「婚姻の有無に関わらず子どもの利益のため互いを尊重して協力せねばならない」とされており、暴行・脅迫など相手方の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷は禁じられます。
これまで岡村弁護士ら専門家は「離婚するほど関係が悪化した夫婦間での話し合いが公平に行われるか」という問題を指摘してきました。モラルハラスメントを含むDVをする配偶者などの場合、相手にきちんと自分の主張をすることはできません。さらに日本では家父長制度の名残が根強く残っているために夫だけではなく、婚姻生活に直接関係ない義父母などが支配的に介入する場合もあり、妻は意見を言うことが難しく、言ったとしても尊重されないというケースが散見されてきました。改正民法ではこうした点に一定の歯止めをかけた形にはなっていると、岡村弁護士は語ります。











