【読書 今月の本棚と話題】 データで示す困難の実像 『就職氷河期世代』 近藤絢子 著〈2025年4月20日号〉
- 2025/4/21
- 書評
就職氷河期世代とは、90年代半ばから2000年代前半まで、バブル景気が崩壊して就職難だった時代に就職活動をせざるを得なかった世代を指します。その人口は約2千万、日本の人口の6分の1を占めています。
この時期、就職内定率や求人倍率は大きく下がり、2000年代はじめには過去30年間で最低の水準まで落ち込みます。

880円+税
こんどう・あやこ 1979年生まれ。コロンビア大学博士課程修了。東京大学社会科学研究所教授。専門は労働経済学
この世代がいまも経済的な困難を抱えていることは、社会的にもよく知られています。ただ、具体的にどんな困難を抱えているのかや、他の世代との違いは、個人的な体験やイメージをもとに語られがちなため、政府統計をもとに実態を明らかにしようというのが、本書のねらいです。
例えば、「就職氷河期世代は、経済的な困難から子どもを持てず、少子化の原因となっている」というとらえ方。実は、一人の女性が産む子どもの数は、氷河期世代の少し上の世代で大きく減少した一方で、氷河期世代では下げ止まっているといいます。











