存在意義問われる人事院 国税局の障害者排除問題 不十分な検討も追認の記載〈2025年5月25日号〉

 東京国税局に勤務していた原口朋弥さんがパワハラ起因のうつ病を発症した後、パワハラを告発したなどを理由に反復して人事評価がD(最低評価)とされ、2021年6月に分限免職処分(解雇)を受けたとして人事院に審査請求を行なっていた問題で、人事院が異例の長期にわたる審理後の今年3月27日に「処分承認」と判定をしたことに注目が集まっています。労働者としての権利が制限される公務員の身分保障の仕組みである人事院制の存在意義が問われています。原口さんの弁護団の2人に聞きました。

人事院のあり方が問われると話す(左から)浅野、加藤の両弁護士

 民間企業の労働者には団結権、団体交渉権、争議権の労働三権が保障されています。一方で公務員は職務の性質から何らかの制限を受けており、警察、消防、海上保安庁、防衛省、自衛隊員などは全面的に否定されています。

 その他の公務員は団結権、団体交渉権は有するものの、争議権は認められていません。海外のようにストライキによりごみ収集が行われないなどという事態が生じないのはこのためです。一方で職務の公共性、行政の継続性や中立性の維持、政治介入を排するために公務員の身分は厳格に保障されています。

 本来は民間企業の労働者のように業績や評価によって給与が大きく変動することはなく、解雇(分限免職)されることもほとんどありません。そのため失業保険の対象外であり、分限免職となると退職金もなく路頭に放り出されてしまいます。

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