「池の魚が酸欠状態で口をパクパクさせて水面に浮いている。大きな魚も小さな魚も一様に苦しい」―都内の病院の半数以上、357病院が会員となる東京都病院協会の年末の会報で、猪口正孝会長が記していた言葉です▼医療団体などによる調査で、都内の病院の半数以上が赤字に転落しています。東京は患者の数が多いから大丈夫という誤解に対し、猪口氏は「根本的な問題は、診療報酬が低く抑えられていること」として、医療体制そのものが危機的状況を迎えていると訴えます▼東京都の今年度予算には、入院基本料として入院患者一人あたり1日580円が病院に支払われる制度が盛り込まれました。東京都病院協会や東京都医師会などが求めていた制度で、日本共産党都議団も医療関係者の要望を受け都議会で質問で取り上げるなど、実施を求めてきました。画期的な支援の拡充とはいえ、当面、1年のみの制度とされ、26年度以降の継続が大きな課題です▼都内では、介護の分野でも、国が訪問介護の基本報酬を引き下げたことで、事業所閉鎖などが相次いでいます。都民が安心して生活できる基盤となる医療や介護。国の政策の転換とともに、その荒波の防波堤となり現場を支援する都政の実現は、都議選の大切なテーマです。
東京民報2025年6月15日号より









