【読書 今月の本棚と話題】貧困との揺るぎない闘い 『信念の女、ルシア・トポランスキー ホセ・ムヒカ夫人 激動の人生』 佐藤美由紀 著〈2025年7月20日号〉

 「世界で一番貧しい大統領」と報じられたウルグアイのホセ・ムヒカ大統領が亡くなりました。

 「貧しい人とは少ししかモノを持っていない人のことではなく、限りない欲望を持ちいくらあっても満足しない人のことだ」という言葉とともに、来日もし、話題になりました。この本はそんなムヒカ氏の同志であり妻のルシア・トポランスキーに焦点を当てたものです。来日時は「偉大な夫にひっそりと寄り添う控えめな感じ」と受け取られたようですが、「だってだれも私に質問をしなかったから」といたずらっぽく微笑んだという。

双葉社 2017年
1540円(税込)
さとう・みゆき 広島県福山市出身。フリーライター。2015年に『世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉』がベストセラーに

 早くに父を亡くし母子家庭で育ったムヒカとは対照的に、ルシアは裕福な家庭で双子として生まれた。大学に進学した「双子の美人姉妹」は教会の慈善活動に熱心で、初めての社会活動はローゼンバーグ夫妻の助命嘆願運動だった。

 1950年代、ラテンアメリカはアメリカの属国とみなされ、反政府活動も活発だった。アルゼンチンのエバ・ペロンやキューバのゲバラにも影響を受けた。当時のウルグアイも経済危機の最中にあり、姉妹は共に「ツパマロス」という反政府ゲリラに加わった。

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