【読書 今月の本棚と話題】 平和への思いと科学的展望 小沢隆一 著『日米核軍事同盟と憲法9条』〈2025年8月24日号〉
- 2025/8/24
- 書評
本書は著者がこの間に書いてきた日米安保条約と憲法との相克に関わる論稿を、ひとまとめにしたものです。
表題を単なる日米同盟とせず、日米核軍事同盟としたところに、著者の鋭い洞察力を感じました。日米安保条約の体制は、アメリカの軍事戦略の基軸をなす核戦略と一体となった「核軍事同盟」だからです。この日米核軍事同盟を克服して、「憲法九条」が実現する平和な世の中を展望することが、著者が本書に込めた思いです。

2600円+税
おざわ・りゅういち 1959年東京生まれ。憲法学者。一橋大学法学部卒業。静岡大学教授を経て、現在東京慈恵会医科大学名誉教授
構成は10の章と補章ですが、本書の「基本骨格」をなすものは第2章です。著者の理論的な位置づけと、現代的な状況への問題意識が述べられています。
第1章は、憲法政治の基本的な見方と現在の局面について、第3章は、石破内閣の憲法論や安全保障観の「地金」の危うさを検証しています。
第4章は、「核抑止論」批判。核兵器の使用を覚悟しなければなりたたない矛盾に満ちた非論理的な議論であると、その本質をずばりと指摘しています。











