英スピ 公正性と採算は矛盾 入試活用中止求め夏の都民集会〈2025年8月31日号〉

 改選後の初めての都議会定例会を前に、都立高校入試に英語スピーキングテスト(ESAT―J)結果の活用中止を求める「夏の市民大集会」が8月20日、都議会(新宿区)の会議室で開かれ、教育関係者や保護者らは新都議とともに公正・公平性に欠ける同テストの中止に向けて決意を固めました。集会にはオンラインを含めて約100人が参加しました。

 英スピテストは公立中学校の全学年の生徒(22年度は中3のみ)を対象に行われ、中学3年生のテスト(YEAR3)の結果は都立高校入試の合否判定に活用されます。多くの問題が指摘されながら24年度も3回目のテストを実施。約7万人が受験しましたが、機器の不具合や試験監督の運営の不手際などが相次ぎ、再試験対象となった生徒が前年度の4倍超の255人に上りました。

今年こそ英スピテストの入試活用をやめさせようと開かれた集会=20日、新宿区

 一方、都教育委員会は都議会の追及にも「適切に行われた」として問題の検証もせず、改善も進んでいません。今年も11月23日に4回目を予定し、7月3日から受験申請の受付が始まっています。

 集会では「入試改革を考える会」代表の大内裕和・武蔵大学教授が英スピテストに関する制度や運営面の問題、費用対効果や法的リスクなど、問題点を包括的に報告。都教委や区市教育委員会の責任と対応を促し、試験活用の中止、見直しを求める論点を多角的に報告しました。

 具体的には▼不受験者に仮結果推定の点数を与えることで不受験者が有利になる設計上の問題がある▼同じ試験問題を使って同じ会場で前半、後半に分けて受験させることや、教室内に多人数の受験生を詰め込むことで解答音声が漏洩する恐れがある▼試験監督の研修が不十分で運営に支障をきたした事例がある▼10~15分のテストに受験生が5時間以上拘束される―など、受験生や保護者、試験監督から寄せられた声や告発をもとに検証しました。

 その上で「英スピテストの問題点を分かりやすく、一人でも多くの都民に知らせることが重要だ」として、それに役立つ資料を紹介しました。

事業採算で改善望めず

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