街角の小さな旅 多摩動物公園と七生丘陵 丘陵を活かした広大な動物園〈2025年9月7日号〉

 都立多摩動物公園(日野市、最寄り駅=京王線・多摩モノレール多摩動物公園駅)は、日本が第2次世界大戦の敗戦から復興の道を歩み、高度成長期を迎えた1958年に、来場者が急増した上野動物公園の第2動物園の構想を背景に誕生した動物園です。候補地は都下の多摩丘陵の一角に位置する七生ななお丘陵。単に動物を展示するのではなく、多摩丘陵の自然のなかを散策しながら、動物の自由に動きまわる姿を観察できることをコンセプトに、当時最新であった動物と観客との間を仕切る柵のない「無柵放養式展示」を導入した動物園でした。

多摩動物公園の昆虫園本館

 園内は50ヘクタールもの広さの起伏のある丘陵の地形を活かして、ユキヒョウやモウコノウマなどのアジア園、ライオンやキリンなどのアフリカ園、コアラやカンガルーなどのオーストラリア園や昆虫園などのゾーンに分かれて構成されています。

 入園して右手の坂をいくと大きな温室が見え、大きなバッタのモニュメントが迎えてくれます。1年を通して20種類前後の蝶が飛びかう国内最大級の昆虫生態園大温室と昆虫園本館です。

 その先にはライオン放飼場。世界ではじめて導入された、ライオンを間近に観ることができるサファリバスに子どもたちの目が輝きます。さらに奥はオーストラリア園。

 起伏があり広大な動物園ですが、入園ゲートのすぐ近くに園内の左側、アジア園を抜けて周回するシャトルバスの乗り場があり、一番高いところまでバスであがり、そのあと坂道を下りながら観覧するのがおすすめです。また、園内には兎や狸などの小動物や鷹やフクロウなどの猛禽類、白鳥、フラミンゴなども道に沿って配置されています。

七生丘陵散策路

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