石破首相が7日、退陣を表明しました。参院選の大敗から1カ月半も「政治空白」を続けたあげく、追い込まれました▼石破氏の政治的なポジションを表現するのに、よく使われるのが自民党の「党内野党」です。選択的夫婦別姓の導入に前向きな姿勢を示すなど、一定程度、国民世論を反映した発言をしてきたからです▼本人も最近、「融和に努め『(石破)らしさ』を失った」と振り返ったように、24年10月の首相就任後は、自民党内の調整と党略を優先する姿勢が前面に出ていました。その始まりが、政権発足直後の衆院解散でしょう。総裁選中は、予算委員会を開いて野党と論戦した上での解散と正論を語っていたにも関わらず、早期の選挙の方が有利という党内世論を受け、踏み切りました▼結局、この解散戦略は、裏金問題への世論の批判の強さを見誤り、自民党は敗北しました。これを皮切りに今年の都議選、参院選まで3連敗を続けたことで、政権は崩壊に追い込まれます▼石破政権のてん末は、国民の声より党内優先で「変われない自民党」を象徴するようです。ポスト石破をめぐっても、解散したはずの派閥の有力者がうごめく姿が透けてみえます。暮らしの悲鳴より党内抗争という姿勢は、早晩、国民に見限られます。
東京民報2025年9月14日号より







