1949年から51年にかけて、日本共産党員やその支持者が「企業破壊者」などのレッテルを貼られ、暴力的に職場や社会的地位を追われた「レッド・パージ」の実態を描く映画「レッド・パージ~今に続く負の遺産~」が26日から池袋のシネマ・ロサで劇場公開されます。多くの被害者が高齢化し、亡くなるなかで、「事件をなかったことにはさせない」という当事者の思いが込められた映画です。


映画製作の取り組みが始まったのは、2019年でした。製作元であるレッド・パージ反対全国連絡センターの鈴木章治事務局長は、当時、事件から70年が経ち、被害者の多くが90歳代を迎えるなかで、「『暴力的に職場を追われた悔しい思いを風化させたくない。なかったことにはさせない』と、記録映画として残す運動が始まった」と振り返ります。
映画製作の協賛金には800人以上が協力、関係者からのカンパも含めて約1200万円が集まりました。1万円以上の協賛金を払った人は、映画のエンドロールで名前を流すことを知り、「自分ではなく、パージの被害者で、すでに亡くなった父の名前を流してほしい」と、申し出るケースもあったといいます。
あいまいな基準で
映画は、レッド・パージが起きた戦後の時代背景や、同時期に起きた下山、三鷹、松川の三大謀略事件が「共産党の仕業」とされてパージ容認の世論づくりに利用されたこと、パージの過程、さらにその後の名誉回復を求める運動などを、章に分けて映像とともに紹介しています。被害者や遺族の証言だけでなく、研究者や、弁護士らが、レッド・パージの背景や実態を解説します。












