国立ハンセン病資料館(東村山市)で9月27日から12月27日まで、ギャラリー展「ハンセン病療養所で書かれたある少年の手紙 お父さん お母さんへ」が開催中です(館ホームページ)。
小学校6年生の時に診断を受け、ハンセン病療養所に隔離された少年が両親に宛てて書いた手紙67通が、母の没後2017年に遺品の中から見つかりました。同展はその内、中学、高校生時にしたためた13通を展示するもの。展示物はハンセン病への差別や偏見なども浮き上がらせています。

2㍍の塀で囲まれた熊本県の菊池恵風園(きくちけいふうえん)に暮らした1961年から、邑久高等学校新良田(おくこうとうがっこうにいらだ)教室への進学のために長島愛生園(岡山県)に暮らした1967年までの青春時代にしたためられた手紙からは、多くの思いがあふれ出ます。
ハンセン病の診断が下ると子どもであっても容赦なく、家族と引き離して隔離することが他国では類を見ない国策であった時代。両親を心配させないための配慮の他、病気への苦悩や葛藤、「(療養所での生活が)楽しい」と自分自身を納得させる姿、社会への反発や生きる意味を問うものなどを手紙は訴えかけてきます。
手紙を書いた少年は現在77歳、療養所を離れて暮らしていますが住所も名前も明かしません。今も続くハンセン病の回復者と家族への偏見、差別がそうさせるのでしょう。排外主義やヘイトが目に付く時代に、一人の少年の痛苦の経験と歴史に学び、自分自身に問う契機となる展示会です。
○国立ハンセン病資料館
東村山市青葉町4―1―13・電話042(396)2909▽午前9時半~午後4時(入場)▽休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
東京民報2025年10月5日号より












