イギリスで1979年から初の女性首相を務めたサッチャー氏は、「鉄の女」と呼ばれました。強硬な保守派で、自己責任を重視し、社会保障の削減を進めたことでも知られます▼自民党の新総裁に決まった高市早苗氏は、そのサッチャー氏を崇拝しています。日本初の女性首相への道を切り開いたこととともに、改憲・タカ派で、生活保護利用を「さもしい顔をして」と攻撃した過去の発言など、政治姿勢もサッチャー氏と重なります▼メディアジャックを続けた自民党総裁選ですが、1年前の総裁選と比べても、国民からの盛り上がりに欠けました。各候補の訴えも、党内世論に配慮した内向きの主張が目立ち、同党内からは「これが最後の自民総裁選になるのでは」との嘆きまで聞こえてきます▼高市氏は総裁の就任会見で、「馬車馬のように働いていただく。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます」と語りました。サッチャー氏を指す「鉄の女」は、最初は、頑迷で頭が固い姿勢を皮肉る言葉だったのが、本人が気に入り、代名詞として定着したと言われます▼頑迷さか、信条を貫く強さか。「日本のサッチャー」を目指す高市氏の言葉からは、昭和の時代からの古い価値観を引きずる姿勢が、垣間見えているようです。
東京民報2025年10月12日号より









