教科書価格は教育問題 コスト見合う設定求めシンポ〈2025年10月26日号〉

 子どもと教科書全国ネット21は18日、「教科書制度を考える―さらに深刻化する教科書価格問題」をテーマに、第66回教科書を考えるシンポジウムを文京シビックセンター(文京区)で開催しました。

 日本出版労働組合連合会教科書対策部事務局長の吉田典裕さんが「教科書価格問題の現状と課題」について話しました。

 文部科学省は、小・中学校と高校などの教科書について、学校教育法により、教科書検定制度を採用し、同省がおよそ10年に一度、改訂する学習指導要領(教育課程の基準)に準拠しているか検定します。

 吉田さんは、一般社団法人教科書協会の『2025年度教科書発行の現状と課題』から、教科書と消費財の値段の比較で、「さんすうドリルが858円に比べ、教科書のさんすうは361円。児童書が1430円に比べ、教科書のこくごは370円と教科書の値段は諸物価に比べてかなり安い価格」だと紹介。「1教科当たりの教科書の種類も多くなり、サイズは大判化し、ページ数も増大したことから原材料費・人件費も上昇した」として「適正価格ではない」と強調しました。

「教科書に適正な価格を」と求める吉田氏=18日、文京区

 また、「2020年度から教科書にQRコンテンツ(音声・動画・ドリルなどの学習ツール)が導入され、紙の教科書の価格には、その制作・改修・管理コストは含まない」ことや、「2024年度から、デジタル教科書が活用され、価格は紙の教科書の38%」などの問題を取り上げ、「必要なコストに見合った適正な価格設定ではなく発行者にとって大きな負担となっている」と訴えました。

 吉田さんは、1983年に出版労連にプロジェクトチームを立ち上げ、国会議員に要請するなど教科書価格適正化のために活動してきました。

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