日本で初めて「9条の碑」が建立されて40年目を迎え、現在67基にまで広がっています。国会の改憲勢力が増大し、平和憲法がかつてない危機に直面するなか、憲法9条の良さを目に見える形にする「9条の碑」の運動をいっそう広める機会にしようと、碑を完成させた個人・団体が一堂に会して交流する集会が17日、府中市内でありました。全国20団体の代表と個人がステージに上がり、碑の紹介や資金、設置場所確保などの苦労、建立にかけた思いを語り合いました。主催は多摩地域初の碑を府中市に建立した「『9条の碑・府中』を生かす友の会」で、200人以上が参加しました。
基地の中に建立
会場から「えー」という驚きの声が上がったのは、航空自衛隊の百里基地の敷地内に「九条の碑」(24年2月)を建てた茨木県小美玉市の「百里・憲法九条の碑」建立実行委員会の栗又衛さんの紹介の時です。

碑は戦闘機やヘリコプターが飛び交う基地の中にあります。「戦争のために土地は売らない」と8人の農家が残した土地を法人化して、「平和公園」として整備。碑はその中に建てられました。
栗又さんは「憲法9条があったから土地は強制収容されなかった」と強調します。碑は足立区の運動に刺激され、「百里にこそ絶対に必要」と、1年かけて実行委員会をつくりました。栗又さんは「ここに来ていただくと、9条がリアルに分かる」と話しました。
敵基地攻撃ミサイルを配備する動きに伴い、この土地の収用が狙われる可能性に言及。守るために多くの人に地主になってほしいと訴えました。
赤ちゃんと猫
愛らしい赤ちゃんと猫をデザインした碑を建立したのは、神奈川県藤沢市の「湘南 平和憲法の碑を建立する会」。22年に活動を開始し、今年7月に完成させました。台座のプレートには日本語と中国語、ハングル語で条文が刻まれています。



民医連関連の高齢者施設に土地を借りました。近くには病院やスーパーマーケット、小学校などがあり、人通りも多い場所です。紹介した藤岡みどりさんによると、像をデザインした画家の山内若菜さんの願い通り、子どもたちが頭をなでたり、条文を読む姿が見られると言います。箱根駅伝のルート上にあることから、「なんとかテレビに映らないかと、作戦を練っているところ」と笑いを誘いました。
藤岡さんは建立までの期間、さまざまなイベントを開き、多くの人との意見交換や交流を重ね、そこから生まれたつながりが自分たちの大切な宝になったと振り返ります。
「厳しい現実で心がくじけそうになった時、守るべきものが何かを見失いそうになった時、九条の碑が私たちに変わらぬ力と優しさを示してくれる。私たちの九条の碑は、小さいけれど、さらに多くの仲間を増やし、そこから生まれる平和への願いや思いが広がることを願ってやみません」












