保険の本質、逸脱するな OTC類似薬 上乗せ負担めぐり要請 8千人アンケートをもとに〈2026年4月19日号〉

 市販薬と同じ成分を含む医療用医薬品(OTC類似薬)を処方された際の患者負担に薬剤費の25%分を上乗せしようとする政府方針に反対する、厚生労働省への要請行動が10日、千代田区の衆院議員第2会館で開催されました。

 主催者を代表して全国商工団体連合会(全商連)の久保田憲一常任理事があいさつで、「例えば、胃酸過多の人が自己判断で胃液の分泌をより促すような薬を誤って購入すれば症状はより重篤になる」と指摘。「受診して処方箋をもらっても薬代が割高になるのであれば、『受診せずに自分で(市販薬を)買おう』という判断を招いてしまう」とリアルな危機感を訴えました。

 さらに、医療費抑制の一方で防衛費を増額する政府の姿勢を批判し、日本の医療制度と国民皆保険制度を守り抜く決意を表明しました。

厚労省の担当者(右)に要請書を手渡す参加者=10日、千代田区

 全商連などが3月9日から31日まで、「OTC類似薬負担増についてのオンラインアンケ―ト」を実施し、8千98人から得た回答について、全国保険医団体連合会の本並省吾事務局次長が報告しました。

 回答者の70%は20~50歳代で、花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の順に多くなっています。本並氏は「がんや難病を抱えている人では免疫力が低下するため、多様な症状に苦しんでいるのが実情」と指摘。OTC類似薬の処方経験がある人は約80%に達し、「多くの人が当事者であることが明らかだ」と報告しました。

 難病患者の家族は「薬があるから日常生活を送ることができ、仕事や学業に励める。私の息子もその一人」と切実に語り、国民の声を聴かずに進んでいく政策への不信を訴え、「どうか今一度、立ち止まって考えて欲しい」と訴えました。

 東京保険医協会の中村洋一副会長は、高齢者の診療控えで「活動性の低下、外出困難から孤立と孤独を招き認知症リスクが高まる」と指摘し、鎮痛剤や抗インフルエンザ薬の「自己判断の服用が重大な健康被害をもたらす危険性」に警鐘を鳴らしました。

 そして、健康保険法の規定「患者負担3割限度」を反故にすると批判し、「病気という不幸を皆で支え合う保険の本質を逸脱しているのが一番の問題」と述べました。

働く人に不可欠

 東京土建一般労働組合の佐藤豊中央副執行委員長は、組合のアンケート結果から約80%の組合員が「受診控えや病状悪化に不安を感じている」と回答していることやOCT類似薬の利用が約70%に達している実態を報告しました。

 佐藤氏は、「薬は労働者にとって働き続けるために不可欠」とし、産業の持続性と国民経済の発展に真摯に向き合う政策判断を行うよう強く要請しました。

 保団連は、厚労省への要請後に交渉内容を参加者に報告しました。

 9日に衆院で審議入りした健康保険法改定案を受けて「OTC類似薬の保険除外範囲が拡大」することを懸念。保険除外範囲の対象は「薬剤に留まらず、一定の配慮があれば保険給付全般の制限が可能となる仕組み」であると指摘しました。厚労省が出した「健康保険法等の一部を改正する法律案の概要」には、改正の趣旨として「持続可能な医療保険制度の実現に向けて」と記載されていることを示し、医療費抑制の構造的問題を強調しました。参加者らと共に反対世論を喚起する決意を表明しました。

東京民報2026年4月19日号より

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