「核と人間」閉塞の空間で 幽閉された6人の科学者 俳優座『ファーム・ホール』〈2026年5月31日号〉

 劇団俳優座は6月15日からナチス・ドイツで核兵器開発にかかわった科学者を描く舞台「ファーム・ホール」を公演します。ナチスの降伏後、ドイツの原子爆弾開発にかかわった科学者たちがイギリスの片田舎の屋敷「ファーム・ホール」に幽閉され、盗聴して会話を記録されていたという実話に基づいています。人間と科学、戦争とのかかわりを問う舞台で、2023年にイギリスで上演、絶賛された作品の日本初演です。

 第二次世界大戦でドイツが1945年5月に降伏した後、ノーベル賞受賞者を含むドイツの科学者たちが、イギリスの屋敷「ファーム・ホール」に連れてこられ、同年7月から1946年1月まで幽閉されました。科学者たちは、「国王陛下の客人」と呼ばれて丁寧に扱われながらも、屋敷は隅々まで盗聴されていました。その会話の記録は、1992年に機密扱いを解かれて出版されています。戯曲は、それをもとに創作されたものです。

「稽古をするほどセリフに込められた新たな意味合いに気づきます」(野々山さん)

 最も若い科学者バッゲを演じるのは野々山貴之さん。「当時は10人の科学者が屋敷で過ごしましたが、戯曲は6人に変更しています。いずれも実在の人物です。衣食住や、ある程度の自由は与えられながらも、外部との接触は禁じられた閉塞へいそくされた空間での6人のやり取りが、ドラマをつくっています」と紹介します。

ナチ党員に負い目

 バッゲはナチ党員でした。6人の立場は、ナチスに複雑な思いを持ちながらも協力した者や、公然と反ナチの立場を取った者など様々です。

 「バッゲ自身は、ナチスの活動に積極的に関わったわけではないけれども、自分が党員であることを選んでしまったという負い目がある。物理学者として核開発に関わっていたことについても、本当に自分たちが原爆を作っていたと言えるのかなど、さまざまな葛藤を抱えています」

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